2011 Fiscal Year Research-status Report
次世代臨床検査法としての新規幹細胞・癌幹細胞検出技術の確立
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23590670
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高野 徹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00263236)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | FACS-mQ / Flow Cytometry / 幹細胞 / 癌幹細胞 / RNA / 遺伝子発現プロフィール |
Research Abstract |
1. FACS-mQにおける検出感度向上のための増感法の検討A. 免疫蛍光抗体法:免疫蛍光抗体法においてはTSAによる増感を行うより、他の要因を調整することで十分な感度が得られることが分かった。具体的には1)ポリクローナル抗体のモノクローナル抗体への変更、2)抗体の至適希釈濃度の検討、3)抗体反応条件を4℃16時間から4℃4時間への短縮、である。これらの変更で、特定の蛋白を発現している細胞と発現していない細胞を明確に分別可能となった上に、解析時間が従来の1日半から半日に大幅に短縮となった。B. 蛍光in situ hybridization法:蛍光in situ hybridizaion 法ではハイブリダイゼーションの反応時間を、従来の4時間から一定の条件で16時間まで延長することで、RNAのさらなる分解を引き起こすことなくシグナル/ノイズ比を大きく改善できることがわかった。ただし、発現量の少ない遺伝子についてはこれでも感度が不十分であることが考えられ、TSAによるさらなる増感も必要であると考えられた。2.FACS-mQに用いるための臨床検体の前処理法の検討A.血液細胞:in situ hybridizationに使用するためのパラフォルムアルデヒド固定については、大きな問題がないことがわかったが、蛍光免疫染色におけるUM-Fixによる固定では血球が塊となることがあり、条件検討が必要であると考えられた。B.甲状腺組織:甲状腺組織のFACS-mQの前処理法としては、1)カテキンを含むThelioKeepによる組織の保存、運搬、2)コラゲナーゼ、ディスパーゼ、トリプリンの3つの酵素による分散、3)DMSOを含む溶液にによるー80℃での凍結保存が有効であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度はFACS-mQのプロトコールを改善して検出感度を向上させることと、臨床検体の前処理法の確立を予定していたが、これら2つの目的をほぼ達成できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
1.TSAを用いたin-tube in situ hybridization法のさらなる増感23年度の検討でFACS-mQにおけるin-tube in situ hybiridization法の感度は大きく改善されたが、発現量の少ない遺伝子についてはこれでも感度が不十分であるケースが考えられる。よって、TSAによるさらなる増感過程を加えたプロトコールについて検討する。2.細胞株、臨床検体を使用したFACS-mQのトライアル 24年度以降は今までのモデル実験ので確立したプロトコールを実際の解析に応用することを目指していく。具体的には以下の3項目である。A.細胞株を使用したトライアル:同一細胞株の中で特定の遺伝子を発現している分画と発現していない分画を採取し、両者の遺伝子発現プロフィールを解析し、とくに幹細胞マーカー等の発現に注目することで、細胞株の中に幹細胞様の細胞が存在するかどうか検討する。B.血液細胞を使用したトライアル:ヒト血液中にはわずかではあるが、本来甲状腺上皮細胞でしか発現していないとされるサイログロブリンを発現している細胞が存在していることが知られている。FACS-mQによりそのような細胞を血中から採取し、遺伝子発現プロフィールを解析することで性質を同定する。C. 甲状腺組織を使用したトライアル:成人の甲状腺細胞では正常甲状腺濾胞上皮細胞とは異なる、増殖力の強い幼若で幹細胞様の細胞が存在していることが示唆されている。そのような細胞をFACS-mQで同定・解析するため、若年者の増大傾向の強いバセドウ病甲状腺組織の遺伝子発現プロフィールを解析して、幼若な細胞のマーカーとなりえるような遺伝子の同定を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.物品費(95万円):FACS-mQを施行するための物品費として以下のものを見込む。組織保存液(10万円)、組織分散酵素(5万円)、蛍光標識キット(20万円)、RNA合成酵素(5万円)、RNA保存液(5万円)、RNA抽出キット(10万円)、定量RT-PCRキット(20万円)、その他試薬・物品(20万円)2.旅費 (10万円):研究成果発表と情報交換のための国内学会参加費として使用する。3.謝金(5万円):英語論文を投稿するためのnativeによる校正費用として使用する。4.その他(10万円):大阪大学の設備であるFACSの使用料金として8万円、検体運搬費用として2万円を見込む。
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[Journal Article] mRNA quantification after fluorescence activated cell sorting using locked nucleic Acid probes.2011
Author(s)
Maruo, R., Maruo, R., Watanabe, M., Hidaka, Y., Iwatani, Y., and Takano, T.
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Journal Title
Mol Biotechnol
Volume: 49
Pages: 42-47
DOI
Peer Reviewed
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