2012 Fiscal Year Research-status Report
繰り返し寒冷ストレスによる痛み受容器の末梢性感作に関する網羅的遺伝子発現解析
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23590724
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
小崎 康子 金城学院大学, 薬学部, 准教授 (20126882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北森 一哉 金城学院大学, 生活環境学部, 准教授 (80387597)
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Keywords | 痛覚過敏 / 繰り返し寒冷ストレス / 動脈脂肪沈着易発症ラット / 末梢性感作機序 / 高脂肪・高コレステロール食 |
Research Abstract |
副交感神経緊張型病態モデルとして知られる繰り返し寒冷(SART)ストレス負荷時の痛み閾値の低下、すなわち痛覚過敏の末梢性の感作機序を分子生物学的側面から明らかにすることを目的とした。動物としては、交感神経緊張型の病態モデル動物とされている高血圧自然発症ラット(SHR)の亜系であるArteriolipidosis-prone (AL)ラットを用い、SARTストレス終了後の痛覚過敏を観察するとともに、痛み受容細胞(脊髄後根神経節細胞)において発現が変化する遺伝子をcDNAアレイ法により検索した。発現増加した遺伝子は381種、発現減少した遺伝子は314種であった。その中で痛み関連遺伝子に注目したところ、以下の6種の痛み関連遺伝子の発現増加あるいは発現減少が観察された。 発現増加:St8sia1, Fyn, Grin2b, Map2k1 発現減少:Npy, Itpr1 ALラットは、高脂肪食によりアテローム性動脈硬化を容易に発症することが知られている。そこで、10日間高脂肪食を摂取させたところ、有意な痛覚過敏が認められた(p<0.01, n=6)。このとき痛み受容細胞において、発現が変化した遺伝子をcDNA サブトラクション法によって検索した。発現の減少が認められた遺伝子種は検出されず、MSS4とフェリチン重鎖の発現増加が認められた。この発現増加は、RT-PCRでも確認することができた(p<0.01, n=6)。MSS4とフェリチンは、現時点では、痛み関連遺伝子に分類されていないが、両者が痛覚過敏に関わる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に従って、SARTストレス負荷あるいは高脂肪食摂取による痛覚過敏時に発現増加する遺伝子を検索した。順次、RT-PCRによる発現変化の確認を実施中である。
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Strategy for Future Research Activity |
SARTストレスあるいは高脂肪食摂取によってALラットに痛覚過敏が生じ、発現が変化する遺伝子を検出することができたので、RT-PCRにより発現変化を確認し、それぞれの過程で痛覚過敏が生じるメカニズムの解明に結び付けたい。また、高脂肪食摂取時にSARTストレス負荷を行ったときこれらの遺伝子がどのように変化するかについて調べ、両者のメカニズムの異同についても検討する予定である。高脂肪食摂取時には、疼痛・炎症に関わるとされる各種脂質メディエータおよびその受容体の発現が変化すると予想されるので、合わせて調べる予定である。得られた結果をとりまとめ、SARTストレスによる痛覚過敏の生成機序を分子生物学的側面から明らかにし、成果の発表を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、現有機器のみで実験を行うことが可能であるため、大型機器の購入予定はない。高脂肪食の特殊飼料やPCR試薬・用品等の消耗品を中心に支出予定である。
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[Journal Article] Cutaneous mechanical hyperalgesia induced by a high-fat-cholesterol diet in SHRSP5/Dmcr rats: upregulation of Mss4 in dorsal root ganglion cells(Abst.)2013
Author(s)
Yasuko Kozaki, Yuka Hasegawa, Yukako Mizukami, Rena Umetsu, Chinami Ishikawa, Yukie Nakagawa, Yuri Morikawa, Haruhi Yasue, Aya Yamamura, and Kazuya Kitamori
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Journal Title
J. Physiol. Sci.,
Volume: vol. 63, (Suppl.1)
Pages: S162
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