2013 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナムにおける母乳中ダイオキシン濃度とステロイドホルモンの関連
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23590735
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
岡本 理恵 金沢大学, 保健学系, 准教授 (50303285)
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Keywords | 環境保健 / ダイオキシン / 健康被害 |
Research Abstract |
本研究は外因性内分泌攪乱化学物質としてのダイオキシン類の健康影響に着目し、ベトナムの枯葉剤汚染地域(hotspot)と非汚染地域を比較することで、人体におけるダイオキシン濃度とステロイドホルモンの関連を明らかにすると共に、ステロイドホルモン代謝経路への影響部位についても考察を加えることを目的としている。 調査は平成23年8月6日から8月16日の期間に実施した。対象地区は枯葉剤撒布地区であるベトナム南部のDong Nai省 Bien Hoa地区および対照地区であるベトナム北部Ha Nam省Kim Bang地区であった。調査対象者は対象地区から抽出した20歳から30歳の母親とその第1子(生後4週から16週)とした。 平成24年度は撒布地区の、25年度は対照地区の生体資料の解析を終了した。母子共に撒布地区と対照地区の比較ができたのは、撒布地区49組、対照地区53組であった。撒布地区の母親の平均年齢は25.5±2.8歳、対照地区では23.3±4.4歳であった。ダイオキシンの総毒性等価量中央値は撒布地区が9.3pg/ g lipidに対し対照地区では3.4 pg/ g lipidであり(p<0.0001)撒布地区が高い値を示した。ステロイドホルモンのレベルのうち、差が見られたのはA-dione(p<0.0001)、とエストラジオール(p<0.0081)でいずれも撒布地域の方が高い値であった。地区ごとにダイオキシン、血中ステロイド、児の身体測定値の関連を見ると、撒布地区ではDHEAと6つのダイオキシン異性体との間にU字型相関が認められたのに対し、対照地区では認められなかった。ダイオキシンレベルと児の身体計測値の関連では、両地区おいて男児よりも女児における頭位、胸囲との負の相関が認められた。ステロイドホルモンレベルと児の身体計測値の関連においては、撒布地区では女児の唾液中アンドロステンジオンとの間にU字型相関が認められた。 今後は母親の年齢等の諸要因を調整し、詳細な分析を行い論文化する予定である。
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