2011 Fiscal Year Research-status Report
熱帯地域における手腕系振動障害に係る病態機序の解明
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23590750
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
宮下 和久 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50124889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉益 光一 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (40382337)
福元 仁 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (30511555)
竹村 重輝 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (70511559)
森岡 郁晴 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (70264877)
宮井 信行 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 准教授 (40295811)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 手腕振動障害 / 振動感覚閾値 / 熱帯地域 / 疫学的分布 |
Research Abstract |
和歌山県立医科大学と連携研究者の前田節雄教授(近畿大学)、研究協力者Anselm Su Ting講師が所属するマレーシア・マラヤ大学との合同チームを結成し、2011年8月にマレーシア・サラワク州にある林業会社のキャンプにて、手腕振動障害に関する調査を行った。参加者は現地の林業従事者33名とコントロール15名である。調査では、全ての調査対象者に振動感覚閾値をはじめとする基礎的データ、5℃1分法による冷水負荷試験、マレーシア人医師による診察を行った。これらのマレーシアの林業従事者のデータと、当教室が毎年実施している和歌山県の林業従事者特殊健診の400名のデータを比較することによって、熱帯地域と温暖地域における手腕振動障害の特徴に関して比較検討を行った。(1)マレーシアの林業従事者は日本の労働者と比較して、しびれや感覚鈍麻を有意により多く訴え(36.4% vs. 20.3%, P値 0.032) 、疼痛を有意に近い割合で多く訴えていた (30.3% vs. 16.9%, P値 0.055)。一方、冷えは有意に近い割合でより少なく訴えていた (12.1% vs. 27.7%, P値 0.052)。(2)手腕振動障害を訴える者の比較では、マレーシアの労働者は日本の労働者と比較して、一貫して有意に大きな振動感覚閾値 (VPT)と、しびれ (13.7 vs. 6.1), 疼痛(18.4 vs. 7.3)、および冷え(20.5 vs. 4.5)の症状を有していた(各 P値 <0.001)。(3)これらの結果から、熱帯地域における手腕振動障害の診断には、しびれ症状を有し、VPTが上昇している場合が、ともに有力な手掛かりになることが示唆された。(4)熱帯地域における手腕振動障害について、これまでほとんど報告がなかった。本研究はその疫学的分布や成因について、有用な情報を提供するものと期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マレーシア・マラヤ大学との共同研究により、現地での調査フィールドの確保、調査対象者の募集に関して、極めてスムーズに実施されている。また、現地スタッフによる調査協力やマレーシア人医師による診察も行われ、正確で的確な調査遂行が可能となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年7月に、本研究で2度目となる熱帯地域における手腕振動障害の現地調査を和歌山県立医科大学、近畿大学、マレーシア・マラヤ大学の3大学合同で行なう。クアラルンプール近郊の自動車工場において振動量の測定を実施し、同工場の労働者を対象に、手腕振動障害に関するデータ測定と診断をマラヤ大学において行なう予定である。また、当教室が保有する30年余の和歌山県の林業従事者のデーターベースが完成するため、熱帯地域と温暖地域における手腕振動障害の成因について、より詳細な検討が可能になるものと思われる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2012年7月に、昨年と同様の手腕振動障害の現地調査を3大学合同で、クアラルンプール近郊の自動車工場において実施する。工場では振動量の測定等を実施し、同工場の労働者を対象に、手腕振動障害に関するデータ測定と診断をマラヤ大学において行なう予定である。その旅費と現地での調査協力者への謝金、また、その調査結果のデータ入力謝金に主に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)