2012 Fiscal Year Research-status Report
熱帯地域における手腕系振動障害に係る病態機序の解明
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23590750
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
宮下 和久 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50124889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉益 光一 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (40382337)
福元 仁 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (30511555)
竹村 重輝 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (70511559)
森岡 郁晴 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (70264877)
宮井 信行 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 准教授 (40295811)
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Keywords | 手腕振動障害 / 振動感覚閾値 / 熱帯地域 / 疫学的分布 |
Research Abstract |
マレーシアで各種職場において振動障害に関する健康調査を行い、日本の林業従事者の特殊健診データと比較を行うことによって、熱帯地域における振動障害の特徴について検証した。 具体的な調査期間と対象者は、日本側調査 2011年11~12月に特殊健診を受診した和歌山県下の林業従事者380人であり、マレーシア調査は2012年4~8月に健康調査を受診した建設労働者30人、林業従事者31人及び自動車工場労働者111人の計172人であった。両国ともに、統一したアンケート調査票、検査項目に基づいて調査を行い、ストックホルムスケールを用いて症状を同定した。 振動障害の有症状者数の比較では、日本、マレーシアの順に、白指9人(2.3%)vs 0人(0.0%)、しびれ 78人(20.3%) vs 33人(19.1%)(p=0.74)、疼痛62人(16.2%) vs 50人(28.9%)(p=0.005)であった。しびれを有する者のデータを両国で比較すると(日本、マレーシアの順)、全指平均皮膚温27.6℃ vs 27.7℃(p=0.87)、振動感覚閾値(VPT) 5.7dB vs 7.4dB(p=0.31),振動工具総取扱時間(TOT) 15616hr vs 8149hr (p<0.01)であり、疼痛に関しては同様に、全指平均皮膚温 28.1℃ vs 27.4℃(p=0.35)、VPT 5.1dB vs 4.8dB(p=0.87),TOT 17780hr vs 6203hr(p<0.01)であった。 振動障害の成立には寒冷環境は重要な因子であり、元来熱帯地域に振動障害は少ないとされてきた。本調査では、疼痛を訴える者はマレーシアで有意に多く、しかも半分程度の振動曝露時間で症状が出現していることが判明した。今後、工具振動値を考慮に入れながら、詳細な検証を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マレーシア・マラヤ大学との共同研究により、現地での調査フィールドの確保、対象者の調査への参加に関して、極めてスムーズに実施されている。また、本学スタッフと現地スタッフによる調査協力が確実に行なわれ、かつマレーシア人医師による診察も行なわれ、正確で的確な調査が実践されている。
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Strategy for Future Research Activity |
マレーシアの林業従事者、工場労働者、日本の林業従事者の3群の2年分のデータをまとめ、熱帯地域と寒冷地域における振動障害の共通点、相違点について解析する。成果は国内外の学会、論文等で発表し、最終報告書に取りまとめを行う。 最終的に、熱帯地域と寒冷地域での振動障害の病態の特徴を明らかにするとともに、これらをふまえた国際的な振動障害の健康管理、とりわけ診断法および予防対策について標準化を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
過去2年間のマレーシアでの調査結果、対照とする日本の林業従事者の調査結果のデータの入力、データクリーニング等の謝金に主として使用する。また、データをまとめる際、連携研究者を招へいしての結果の検討のための旅費、学会発表旅費等に使用する。
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Research Products
(6 results)