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2012 Fiscal Year Research-status Report

カンピロバクター腸炎の実態解明(臨床情報・菌株情報の連結による調査研究)

Research Project

Project/Area Number 23590799
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

藤本 秀士  九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30199369)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 重松 美加  国立感染症研究所, 感染症情報センター, 主任研究員 (20299598)
小島 夫美子  九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80136564)
KeywordsCampylobacter enteritis / Food poisoning / Molecular epidemiology / カンピロバクター腸炎 / 食中毒 / 分子疫学
Research Abstract

近年増加して問題になっているカンピロバクター腸炎の日本での実態解明を目的に,臨床情報と分離菌株情報とを連結した解析を進めている.
本感染症の大部分を占める散発性腸炎について,福岡地域の183検体の検体情報を解析した.鞭毛遺伝子(fla A)によるPCR-RFLP法では,多くの菌株ではパターンが異なっていたが,同一パターンを示す菌株グループも見られた.散発性腸炎患者からの分離株のMulti Locus Sequence Typing (MLST)解析では,これまでの諸外国での報告と同様の傾向が見られたが,世界的に流行しているSTタイプ群に混じってデーターベースに未登録のSTタイプが見られ,わが国独自のものである可能性が示唆された.
本菌による集団食中毒事例(集団発生例)について,福岡市内の飲食店で発生した事例(11名グループ中8名が症状を訴え,便培養で8名全員からカンピロバクターが検出)について,臨床情報および分離菌株の分子生物学的解析を行った.症状では,下痢が有症者全員にみられ,期間は3~10日間であった.発熱は一部に見られた.分離された10菌株は,生化学的性状検査および分子生物学的検査で全てC. jejuniと同定された.これらの菌株は鞭毛遺伝子の解析(fla A PCR-RFLP)で2群に分けられ,RAPD法および細胞致死性伸張化毒素cytolethal distending toxinの遺伝子解析においても異なる2菌株であることがわかり,原因食品が複数の菌により汚染されていたと推察された.これらの菌種のMLST解析では,異なる2種類のSTタイプが検出され,互いに類縁関係がないことから,原因食材が由来の異なる2種類以上のC. jejuniに汚染されていたことが明らかとなった.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究計画は,①医療機関からのカンピロバクター腸炎検体より臨床情報およびカンピロバクター分離株を収集し保存,②菌株情報の解析:菌種同定(生化学的・分子生物学的方法),血清型別,分子生物学的型別(flaA PCR-RFLP,MLST),薬剤耐性(特にキノロン系薬剤),③臨床情報および菌株情報をデータベース化,④上記データの分析およびデータ間比較解析によるカンピロバクター腸炎の実態解明である.
現在までに,①福岡地区のカンピロバクター腸炎検体より菌株とそれに附帯する臨床情報を収集した.そして②収集菌株の菌種同定とflaA PCR-RFLPを実施し,③臨床情報の全てと菌種・flaA PCR-RFLPの一部をデータベース化した.菌株からのゲノム抽出を完了してMLST解析を進めており,④データの揃った菌株について,これまでに得られた各データを解析し,その分析結果を国内学会および国際学会において発表した(研究業績参照).

Strategy for Future Research Activity

得られた情報(臨床・菌株)のデータベース化をさらに進めて完成させる.さらにMLST解析結果を総合解析ソフトBioNumericsによって菌株毎にデータベース化する.BioNumericsは電気泳動画像や塩基配列など多様な生物学実験データをデータベース化して系統分類・解析・同定を行う実験データ統合環境ツールであり,これまでに得られた研究データおよびMLSTデータとの相互解析を進めて,カンピロバクター腸炎菌株の系統分析と分子疫学および母集団構造の調査によって本菌感染症の実態解明を目指する.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

物品費:菌の培養に必要な培地・プラスチック器具,PCRやMLSTのためのDNAを抽出するためのキット・酵素・試薬類など,消耗品に使用する.
旅費:研究分担者との打ち合わせ旅費,研究代表者および分担者の国内学会(日本感染症学会,日本臨床微生物学会,日本細菌学会)での成果発表のために使用する.また,国際学会(CHRO2013など)での発表も予定している.
人件費・謝金・その他:MLSTの塩基配列決定は学内のセンターに委託する.また,得られた結果のデータベース化のための謝金および論文掲載料(投稿・別刷代金),報告書印刷費も含まれる.

  • Research Products

    (5 results)

All 2013 2012

All Journal Article (1 results) Presentation (3 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] カンピロバクター感染症2012

    • Author(s)
      藤本秀士
    • Journal Title

      化学療法の領域

      Volume: Vol.28 (No.6) Pages: 1268-1275

  • [Presentation] Molecular epidemiological analysis on Campylobacter isolates associated with food poisoning2013

    • Author(s)
      藤本 秀士, 重松 美加
    • Organizer
      第85回日本細菌学会総会
    • Place of Presentation
      幕張メッセ(千葉市)
    • Year and Date
      20130318-20130320
  • [Presentation] Molecular biological analysis on Campylobacter isolates associated with food poisoning.2012

    • Author(s)
      藤本 秀士, 小島 夫美子, 重松 美加
    • Organizer
      第35回日本分子生物学会年会
    • Place of Presentation
      福岡国際会議場・マリンメッセ
    • Year and Date
      20121211-20121214
  • [Presentation] Total approach of the training for graduate and undergraduate students in medical related area in Japan.2012

    • Author(s)
      Shigematsu Mika, Fujimoto Shuji, Ando Shuji
    • Organizer
      55th Annual Biological Safety Conference
    • Place of Presentation
      Orlando, FL, USA
    • Year and Date
      20121023-20121025
  • [Book] レビンソン微生物学・免疫学[原書11版]:腸管関連のグラム陰性桿菌2012

    • Author(s)
      藤本秀士
    • Total Pages
      p129~148
    • Publisher
      丸善出版

URL: 

Published: 2014-07-24  

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