2013 Fiscal Year Research-status Report
脳機能障害患者の排便障害に対する大建中湯、温熱療法の効果の検討
Project/Area Number |
23590867
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高山 真 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80579954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 鋼 独立行政法人国立病院機構仙台西多賀病院(臨床研究部), 臨床研究部, 臨床研修部長 (90396432)
関 隆志 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90372292)
菊地 章子 東北大学, 病院, 医員 (00400325)
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Keywords | 便秘 / 大建中湯 / 腹部温熱刺激 / 脳血管障害 / 漢方薬 / 伝統医学 |
Research Abstract |
研究目的:本研究は、脳機能障害患者において難渋することの多い排便障害患者に対する漢方薬大建中湯および腹部温熱刺激の有効性を検討することを目的として計画を策定した。 研究実施計画:①研究計画の策定、②研究プロトコルを倫理委員会に提出、③UMINへの臨床試験登録、協力病院での対象者の募集、④倫理委員会承認後の参加者への研究の説明と同意の取得、⑤治療内容の割り付け、⑥データ収集、⑦データ解析、⑧研究結果の公表の順番で計画を立案した。 成果:大建中湯に関する研究では平成25年度までに①~⑦まで終了している。34名の被験者(平均年齢78歳)を2群に分け、一か月間大建中湯内服(7.5g/日)を行う内服群と非内服群で比較したところ、便秘臨床スコアは内服群で有意に改善した(p<0.01)。便秘臨床スコアの詳細では排便頻度、残便感、排便所要時間、下剤・浣腸・摘便において内服群が有意な改善を示した(全てp<0.05)。腸管ガススコアは内服群において16.3±6.7%から9.9±6.0%へ有意に減少した(p=0.03)。この結果は、脳血管障害後遺症患者の排便コントロールに対する大建中湯の有用性を示すものであり、大建中湯の投与は脳血管障害後遺症患者の生活の質の向上はもとより家族、さらには看護師や介護士の負担軽減に役立つことが期待される点において意義があると考える。 また、腹部温熱刺激に関する研究では、平成25年度までに①~⑦まで終了している。7名の被験者(平均年齢79歳)に15分間の腹部温熱刺激を行い、その前後で超音波診断装置を用いて上腸間膜動脈の血流を測定したところ、平均血流速度が56.3±17.9 cm/sから77.3±26.0 cm/sへと上昇傾向を示した(p=0.07)。この結果は、腹部温熱刺激が本研究対象の患者における腸管血流を促進させる可能性を示すものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度までに①研究計画の策定、②研究プロトコルを倫理委員会に提出、③UMINへの臨床試験登録、研究協力病院での対象患者のピックアップ、④倫理委員会承認後の参加者への研究の説明と同意の取得、⑤治療内容の割り付け、⑥データ収集、⑦データ解析、⑧研究結果の公表まで全てを行う予定であった。しかしながら、データ収集に予定以上の期間を必要としたため、平成25年度までに⑦までの達成であった。このため、結果をまとめ論文を作成し、投稿するところまでは終了したものの、学会等で公表する機会は得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、本研究内容をまとめた英論文を英文誌、Evidence-Baced Complementary and Alternative Medicineに投稿中である。また、発表においてはすでに抄録は受理され、平成26年6月29日に東京で開催される日本東洋医学会総会で口頭発表の予定である。これらの方法により研究結果を公表する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に統計解析を行い研究結果をまとめ、国内外の学会において発表をするとともに、英論文を作成し英文誌に投稿予定であった。補助事業期間3年において全体の研究の実施に予定以上の時間を要し、平成25年度において研究結果は得られ、論文の作成、英論文誌への投稿までは行えたものの、投稿受理までには至らなかった。また、研究成果を発表する機会も得ることができず、未使用額が生じた。 平成25年度に予定していた国内外における学会発表を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとした。また、英論文投稿受理後のArticle Processing Chargeも必要であるため、これにも未使用額をその経費に充てることとした。
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