2012 Fiscal Year Research-status Report
薬剤耐性ヘリコバクターピロリ感染症に対する補完代替療法
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23590890
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
喜多 正和 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60153087)
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Keywords | 代替医療 / Helicobacter / サイトカイン |
Research Abstract |
Helicobacter pylori (H. pylori)感染による胃炎発症にはサイトカインが関与することをわれわれはすでに報告している。昨年度の研究において、マウス感染モデルを用いて、H. pylori 感染後のマウス胃粘膜においては、ヒトと同様、IL-1, IL-6, IFN-gamma, TNF-alphaなどの炎症性サイトカインが産生されていること、また、これらTh1サイトカインに加え、新規のサイトカインであるIL-17も有意に産生されていることを明らかにした。そこで、今年度はマウス胃粘膜より初代培養上皮細胞を樹立し、H. pylori刺激後に誘導されるサイトカイン遺伝子の発現変動をマイクロアレイ法により検討した。その結果、正常マウスより樹立した初代培養胃粘膜上皮細胞では、IL-1beta, IL-5, IL-9, TNF-alphaおよびFGF2遺伝子などの有意な発現増強が確認され、逆にIL-4, IL-21, IRF1遺伝子などの発現抑制が確認された。また、IL-17A遺伝子欠損(KO)マウスからも同様に粘膜上皮細胞の初代培養を実施したが、正常マウスとは異なるサイトカイン発現の動向を示した。一方、薬剤耐性H. pylori 感染に有効である漢方薬あるいは生薬を補完・代替療法に応用することを目的に、昨年度の研究において、マウスに薬剤耐性H. pylori を感染させると同時にオウレン、インチンコウ、チョウジ、カンゾウを経口投与すると、有意な抗菌効果が認められたことを報告したが、今年度は、薬剤耐性H. pylori 感染成立後にこれらの生薬による治療実験を試みた結果、オウレン、チョウジ、カンゾウに有意な抗菌効果ならびに胃炎発症抑制効果が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究実施計画として、1)H. pylori感染による胃炎発症の機構解明については、IL-17は相同性をもつ6個のファミリー分子(IL-17A, IL-17B, IL-17C,I L-17D, IL-17E, IL-17F)からなることが知られているため、今後これらIL-17ファミリー分子およびIL-17関連サイトカインであるIL-15, IL-23などのサイトカインの関与についても検討するとともに、IL-17A遺伝子欠損(KO)マウスおよびIL-17F遺伝子欠損(KO)マウスを用いて生体における役割を解明する、2)薬剤耐性H. pylori 感染に有効である漢方薬あるいは生薬を補完・代替療法に応用することを目的した研究については、有効であった生薬を治療に使用可能かどうかを検討するため、薬剤耐性H. pylori 感染成立後に経口投与を開始し、その治療効果を検討する、という2点をあげた。H. pylori感染による胃炎発症の機構解明については、IL-17ファミリー分子およびIL-17関連サイトカインを含め、胃粘膜上皮から産生されるサイトカインを網羅的に解析できた。また、薬剤耐性H. pylori 感染に有効である漢方薬あるいは生薬を補完・代替療法に応用することを目的した研究については、予定通り治療実験を実施することができた。以上の結果より、現在までの達成度は、総合的に「おおむね順調に進展している」と自己点検評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
H. pylori感染による胃炎発症の機構解明については、今年度に実施した正常マウス胃粘膜より粘膜上皮細胞の初代培養法を確立し、H. pylori刺激後に誘導されるサイトカイン遺伝子をマイクロアレイ法により検討した結果を確認するとともに、IL-17A遺伝子欠損(KO)マウスおよびIL-17F遺伝子欠損(KO)マウスからも粘膜上皮細胞の初代培養を確立し、同様のサイトカイン遺伝子の変動を比較検討する。一方、薬剤耐性H. pylori 感染に有効である漢方薬あるいは生薬を補完・代替療法に応用することを目的した研究については、有効であったオウレン、チョウジ、カンゾウなどの生薬を治療に使用可能かどうかを検討するため、薬剤耐性H. pylori 感染成立1ヶ月後に経口投与を開始し、その治療効果を再確認する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遺伝子関連試薬、プラスチック器具、マウスなどの物品購入に1,050(千円)、学会発表のための旅費に50(千円)使用する予定である。
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Research Products
(3 results)