2011 Fiscal Year Research-status Report
がん温熱療法の新規分子マーカー候補FAM107ファミリー蛋白質の発現・機能解析
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23590898
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
中島 日出夫 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (00333394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
元雄 良治 金沢医科大学, 医学部, 教授 (80210095)
小泉 恵太 金沢大学, 子どものこころ発達研究センター, 准教授 (70377406)
源 利成 金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (50239323)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 熱ショック蛋白質 / がん抑制遺伝子 / FAM107 |
Research Abstract |
癌との関連:胃癌・大腸癌において、腫瘍の進展に伴いFAM107B(HITS)が組織型特異的に発現低下することを以前報告したが、さらに組織を拡大して、甲状腺癌・乳癌・肺癌・子宮頸癌・精巣腫瘍などでもHITSの発現が低下する事を明らかにした。組織アレイを用いて大規模スクリーニングを行った結果、癌化に伴ったHITSの発現低下が、消化管以外に甲状腺・乳腺・肺・子宮頚部・精巣など複数の臓器で見られた。さらにそれぞれの臓器に対する組織アレイを用いて統計学的解析を施行した結果、病理学的ステージ分類など複数のパラメータに対してHITS発現との相関関係が得られた(論文投稿中)。また、HITSの発現により腫瘍が増殖抑制される事をin vivo, in vitroの両方で証明した。分子機構の解明:HITSの分子間相互作用を解明するために、プロテオーム解析を施行中である。未だ核心に迫る分子の同定はできていないが、細胞骨格系や細胞運動に関わる転写因子や接着分子の発現と連動している証拠を得ている。神経系における働き:神経系の解析では、FAM107ファミリー分子の神経軸索伸長時の役割について検討した。ラット神経様細胞PC12を用いたFAM107ファミリー分子の強制発現系やRNAiを用いた実験から、HITS(FAM107B)がneurite伸長を抑制、DRR1(FAM107A)が増強に働くことを突き止めた。マウス脳初代培養実験からも同様の結果を得ており、FAM107ファミリー分子が神経軸索伸長に決定的な役割を持つことが証明された。遺伝子改変体:ショウジョウバエの遺伝子改変体を使った実験で、CG9328(FAM107分子の相同遺伝子)の強制発現が毛細胞の伸長を抑制することがわかり、FAM107ファミリー分子はアクチン複合体の形成に関与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FAM107Bの癌細胞における発現と腫瘍抑制効果に関しては予想通りに進んでおり、現在論文を投稿中である。また、神経系における解析も小泉との共同で計画通りに進行している。分子間相互作用であるが、リコンビナント蛋白質の作製には成功しているので、次年度は新たな進展があると考えている。モノクローナル抗体の作製と遺伝子改変体の作製については道半ばである。
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Strategy for Future Research Activity |
癌に関する研究はかなり進んだので、次年度は神経系の実験を仕上げて論文作成することを第一目標としている。神経系の細胞株の用意などはほぼ終了したので、あとはin vivoの系を中心に最終確認をする予定である。分子間相互作用に関しては、リコンビナント蛋白質の作製には成功したので、従来通りのプルダウンアッセイや免疫沈降に加えて、プロテインアレイなどを利用して解析することを考えている。遺伝子改変体のショウジョウバエやノックアウトマウスの作製に関しては、自前で行うとすると膨大な時間と費用を要するので、商業ベースで販売されるのを購入待ちとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
神経系の実験に必要な細胞培養・マウス飼育などの消耗品と、神経突起や細胞移動などのアッセイキットの購入。プロテオーム解析に必要な試薬やキットの購入。研究室が金沢から東京へ移動するため、不足している研究推進に必要な機材の購入。論文作製に必要なコンピュータ関連のソフトウェアとプリンタ等の消耗品の購入。発表や研究打ち合わせのための旅費(国内と国外)と論文の投稿に関する費用。
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Research Products
(2 results)