2012 Fiscal Year Research-status Report
消化管上皮のDNA傷害におけるTWEAKの意義解明
Project/Area Number |
23590955
|
Research Institution | 独立行政法人国立国際医療研究センター |
Principal Investigator |
土肥 多惠子 独立行政法人国立国際医療研究センター, 研究所 肝炎・免疫研究センター消化器疾患研究部, 部長 (60250221)
|
Keywords | 消化管炎症 / TNFSP / レトロトランスポジション |
Research Abstract |
本年度は、TWEAK/Fn14の下流のシグナルについては、マウスへのTWEAKを投与実験、腸炎モデルへの抗TWEAK抗体投与実験により、TNF-a下流のNF-kB経路とのクロストークを示唆する結果が得られた。また、近年注目されているヒトゲノム上の遺伝子以外の配列Long interspersed nuclear element, (L1)に着目した実験を行った。L1は挿入部位によっては遺伝子機能を傷害して疾患発症の誘因となり、ゲノム不安定性の原因としても重要であると考えられる。通常L1エレメントはDNAメチル化によりサイレンシングされているが、癌組織ではL1エレメントの低メチル化が特徴であり、L1が活性化された状態にあると理解されている。我々はL1は炎症によってエピジェネティックな制御により活性化が誘導される可能性があると考え、DNA傷害物質による炎症発癌モデルでL-1が発癌に関与している可能性を想定した。難治性疾患研究部石坂らにより作製されたヒトL1-GFPトランスジェニックマウスを用い、発癌剤アゾキシメタンとデキストラン硫酸飲水内投与による大腸炎誘導を行い、L1活性化を調べた。本実験系ではL1活性化は非常に頻度が低く、GFPの発現では検出が困難であったため、低頻度の活性化L1を増幅して定量するPCR系をまず確立した。その結果、L1-Tgマウスでも腫瘍は形成されたが、それらの腫瘍の大部分では活性化L1を検出することができず背景粘膜での頻度も低かった。一方、大腸では急性炎症時に最も高い頻度で活性化L1が検出されるが、上皮細胞ではなくそれ以外の細胞種で頻度が高いことが、マイクロダイセクションを用いたサンプリングなどで明らかとなった。したがってL1活性化は、上皮細胞の遺伝子異常に直接関わっているのはなく、上皮細胞以外の細胞分画で炎症応答に関わっていると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたTWEAK/Fn14に依存するシグナル経路、及び大腸の炎症発癌に関わるL1活性化に関する成果を得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
計画通り、TWEAK/Fn14欠損マウスなどに抗癌剤投与を行い、その感受性を調べるとともに、NF-κB canonical及びnon-canonical 経路を中心に、シグナル経路を解析する。炎症発癌モデルについてはL1活性化が腫瘍や上皮細胞以外の細胞に起こっていたことは新たな発見であり、今後L1活性化がどの細胞で起こっているのかを詳しく同定していく必要がある。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当無し
|
-
-
-
[Journal Article] Colonic epithelial cells express specific ligands for mucosal macrophage immunosuppressive receptors siglec-7 and -9.2012
Author(s)
Miyazaki K, Sakuma K, Kawamura YI, Izawa M, Ohmori K, Mitsuki M, Yamaji T, Hashimoto Y, Suzuki A, Saito Y, Dohi T, Kannagi R.
-
Journal Title
J. Immunol
Volume: 188
Pages: 4690-4700
DOI
Peer Reviewed
-
-
[Presentation] IL-13 induces TWEAK-dependent activation of TNF-α and intestinal epithelial cell damage –a pathway associated with ulcerative colitis.
Author(s)
T Dohi, R Kawashima, YI Kawamura, T Oshio, M Yamazaki, T Hagiwara, T Okada, P Wu, S Szak, YJ Kawamura, F Konishi, O Miyake, H Yano, Y Saito, L. C. Burkly
Organizer
Digestive Disease Week, 2012
Place of Presentation
San Diego, U. S. A
-
-
-
-
-
[Presentation] TWEAK/Fn14 pathway mediates IL-13 induced intestinal epithelial cell death.
Author(s)
Kawashima R, Kawamura YI, Oshio T, Hagiwara T, Okada T, Inagaki–Ohara K, Wu P, Szak S, Kawamura YJ, Konishi F, Miyake O, Yano H, Ichikawa T, Saito Y, Burkly LC And Dohi T
Organizer
第41回日本免疫学会学術集会
Place of Presentation
神戸