2011 Fiscal Year Research-status Report
消化器内視鏡医を対象としたインターネット利用医療事故防止研修プログラムの開発
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23591020
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
日山 亨 広島大学, 保健管理センター, 助教 (00359887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉原 正治 広島大学, 保健管理センター, 教授 (20211659)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 医療安全 / 消化器内視鏡 / 研修プログラム |
Research Abstract |
本研究は、消化器内視鏡診療を行う医師を対象とした、医療紛争(事故・トラブル)事例のケーススタディーを用いたインターネット利用型の医療事故防止研修プログラムの開発を目的とする。 平成23年度は、消化器疾患の関係する判決文を収集し、まず、患者側の主な訴えの内容について検討した。1990~99年および2000~09年の間に判決が出された事例を検索し、判決文から、患者側の主張を(1)診断の遅れ、(2)診断手技での偶発症、(3)不適切な治療、(4)治療手技での偶発症、(5)不十分なインフォームド・コンセントの5つに分類した。 該当する事例は、1990年代に26事例、2000年代に73事例認められた。患者側の主張を見てみると、1990年代は、(1)13事例(57%)、(2)3事例(12%)、(3)1事例(4%)、(4)4事例(15%)、(5)3事例(12%)であった。2000年代は、(1)29事例(40%)、(2)14事例(19%)、(3)17事例(23%)、(4)8事例(11%)、(5)5事例(7%)であった。両年代を比較すると(3)の不適切な治療の割合が4%から23%と有意に増加していた(P=0.04)。この理由は二つ考えられる。一つは1990年代に比べ2000年代には、医療の進歩により治療法の選択肢の増加したことが挙げられる。もう一つは以前に比べ、医療情報の入手が容易となったことが考えられる。 今回の検討で、患者側が、行われた医療の内容が不適切であったと訴えてくる場面が増加していることが明らかにできた。医師側は、診療ガイドラインを遵守するなど適切な医療を行うとともに、患者側とよくコミュニケーションをとり、患者側が納得・満足する医療を提供する必要があるといえよう。 その他、胆膵系内視鏡の訴訟事例のまとめや、内視鏡医自身の感染症対策についても検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、関係する訴訟事例の検索およびその解析を行うこと、また、教育プログラムに用いる訴訟事例の抽出を行うことが予定されていた。 1990年以降の消化器疾患が関係した訴訟事例はすべて検索し、判決文も入手できた。また、その中で内視鏡が関係する訴訟事例も抽出でき、教育プログラムで用いる事例もほぼ抽出できた。予定されていたことはおおむね実施できたと言え、研究としては、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は研修プログラムの開発を行う年度となっている。ホームページ等を利用して行う研修プログラムのコンテンツを開発するとともに、訴訟事例をケーススタディーの素材に用いて医療安全研修会やカンファレンス等を開催する。また、これらの研修材料に関しての意見を集めて、よりよい内容のものを目指す。 また、引き続き、新たな訴訟事例についても検索し、研修プログラムに使えるものをチェックしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
医療安全研修会の開催のための資料作成や研修プログラム作成に必要なものを購入する予定である。 また、これまでの研究成果の発表のため、国内の学会等に出席することを予定している。
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