2012 Fiscal Year Research-status Report
加速ベッドによる血管内皮機能改善を介した心不全の新しい治療法の開発
Project/Area Number |
23591074
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Research Institution | The Tazuke Kofukai |
Principal Investigator |
宮本 昌一 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第2研究部, 研究員 (30435557)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野原 隆司 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第2研究部, 研究主幹 (80180769)
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Keywords | 血管内皮機能 |
Research Abstract |
陳旧性心筋梗塞を伴う慢性心不全患者に対して、へパリン前投与下に加速ベッドを重力加速度の4分の1で45分間20回揺さぶる群(加速ベッド療法群3例)とへパリン前投与下に軽く加速ベッドを45分間20回揺さぶる群(コントロール群2例)に無作為に割りつけた。患者の平均年齢は60歳代後半で、平均左室駆出分画は40%強と低左心機能であった。加速ベッド前後で採血で様々なマーカーの検討やトレッドミルテストによる運動耐容能の改善の有無の検討を行った。 結果としては、加速ベッド群では血漿BNP濃度は664±312pg/mlから235±174pg/mlへと有意に低下したが、コントロール群では、658±364pg/mlから645±352pg/mlへと横ばいのままで低下は見られなかった。また、加速ベッド療法群において、トレッドミルテストにおける胸部不快感や呼吸困難が生じるまでの運動時間は3.5±1.3分から5.6±1.7分へと有意に改善し、症状出現時の二重石積も14500±3400mmHg・beats/分から17700±3500mmHg・beats/分まで増加した。一方、コントロール群では、トレッドミルテストにおける胸部不快感や呼吸困難が生じるまでの運動時間や症状出現時の二重石積についても前後で有意な差は見られなかった。以上より心不全患者において加速ベッド療法は中枢及び末梢効果により、心負荷や運動耐容能を改善する可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度にエントリーが無かったこが、一番大きな要因として挙げられるが、2年目はこのような治験を行っていることを院内外に大きくアピールして認知度が大きく上がった。具体的には近隣の有力開業医、循環器内科のない病院を地道に訪問して当院に紹介頂くようお願いして回った。院内では他の同僚医師へ本研究へのエントリーを強く御願いして回った。このため、徐々にではあるがエントリー患者も1年で5人と増加してきた。(実際に治験にエントリー候補の患者は20人程度いたが、除外基準や承諾が得られない等で15人はエントリー出来なかった。)
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Strategy for Future Research Activity |
今後も薬物治療抵抗性慢性心不全患者を引き続きリクルートしていく。具体的には上記のように、院内外に大きくアピールしてさらに認知度を上げていく。近隣の有力開業医、循環器内科のない病院をさらに地道に訪問して当院に紹介頂くようお願いして回る予定である。院内ではカンファレンスで他の同僚医師へ本研究へのエントリーをさらに強く御願いして回る予定である。あと、病院のホームページにもこのような研究でエントリーをお願いしていることを強くアピールしていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
未使用額の生じた理由:初年度に患者登録開始が遅れたため目標数に到達するのに時間を要している。しかし、着実に症例登録は進んでおり、次年度にこれまでの凍結保存した採血サンプルも一度に測定発注するため未使用額分も使い切る予定である。 上記のように加速ベッド療法前後の一部の採血は-80℃で凍結保存しており、十数種の血液マーカーの測定にまとめて発注する予定。 血管内皮機能測定のための消耗品費。 あと、研究に必要なパソコン周辺の消耗品や文房具等の購入も予定している。 成果に関しては、国際学会や国内の学会で抄録を提出し、発表予定のためその出張費にも使用予定である。
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Research Products
(1 results)