2011 Fiscal Year Research-status Report
ゼブラフィッシュを用いた遺伝性不整脈の病態解明と治療法の確立
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23591078
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
蒲生 忠継 金沢大学, 大学病院, 医員 (10579634)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 研至 金沢大学, 大学病院, 助教 (00422642)
今野 哲雄 金沢大学, 大学病院, 助教 (50377389)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 循環器 / 遺伝子 / ゼブラフィッシュ / 機能解析 / 生理学 |
Research Abstract |
(1) 遺伝性不整脈症例のサンプル収集:我々はH23年度末までに、QT延長症候群251症例、Brugada症候群133症例、若年発症(60歳未満)の心房細動92症例、若年発症(60歳未満)および家族性徐脈56症例のgenome DNAおよび臨床データを集積した。(2) 遺伝性不整脈の遺伝子変異検索および臨床像の把握:集積した先天性徐脈患者の末梢白血球よりリンパ球ゲノムDNAを抽出し、遺伝子解析を行った。H23年度末までにQT延長症候群24人に25種類の遺伝子変異(KCNQ1遺伝子変異10人、KCNH2遺伝子変異13人、SCN5A遺伝子変異3人、ANKB遺伝子変異1人)を、Brugada症候群3人に3種類のSCN5A遺伝子変異を、心房細動4人に4種類の遺伝子変異(KCNH2遺伝子変異2人、KCNA5遺伝子変異2人)を、家族性徐脈6人に6種類の遺伝子変異を同定した。(3) 同定された遺伝子変異の実験モデルによる機能解析:同定された原因遺伝子変異のうち心筋イオンチャネル遺伝子について、動物培養細胞に変異チャネルを発現させ、パッチクランプ法で遺伝子変異が臨床病型を引き起こすメカニズムを解明した。H23年度末までにQT延長症候群の9種類の遺伝子変異、心房細動の4種類の遺伝子変異、家族性徐脈の3種類の遺伝子変異の機能解析を行った。(4) ゼブラフィッシュを用いた機能解析:上記の機能解析のために作成した変異遺伝子のcDNAのベクターと、ゼブラフィッシュの受精卵に導入・発現させるための発現ベクターとの入れ替えを行っている。さらに、受精48時間後のゼブラフィッシュ初期胚の心房筋および心室筋の活動電位の測定をパッチクランプ法で試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝性不整脈疾患に対して多数の遺伝子変異を同定し、機能解析を行い電気生理学的特徴を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
変異遺伝子のcRNAを作成し、ゼブラフィッシュの受精卵に導入・発現させ、パッチクランプ法で心房筋および心室筋の活動電位を測定する。受精48時間後のゼブラフィッシュ初期胚より、麻酔下で心臓をエンブロックに採取し、recording chamberに装着する。自己拍動している心房あるいは心室の近位にガラス微小電極を置き、Axopatch 200Bのブリッジ記録で活動電位を記録し、活動電位の振幅、持続時間(APD)の計測を行う。遺伝子変異によるイオンチャネルの機能異常がゼブラフィッシュの心房筋あるいは心室筋の活動電位にどのように反映されているか、直接的に検討を行う。問題点としては、ヒトのcDNAをゼブラフィッシュの受精卵に発現させた際の活動電位の妥当性を検討する必要がある。今後は、ヒトと相同性のあるゼブラフィッシュのイオンチャネルの遺伝子をクローニングしてcDNAを作成し、それを用いて発現実験を行うことも計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遺伝性不整脈発端者および家族の網羅的遺伝子解析(遺伝子スクリーングとシークエンス)を行うため、各種試薬、プライマー作成に使用する。 変異cDNAを作成するため、各種試薬、プライマー作製費用、コンピテントセル、大量生成キット購入に使用する。 動物培養細胞による発現実験を行うため、各種試薬、培養液、血清、抗生物質、キャピラリーガラス購入に使用する。 ゼブラフィッシュの飼育・管理のための研究経費、不整脈ゼブラフィッシュの作成のためcRNA作製キットをはじめとする各種試薬の購入に使用する。 研究成果を日本循環器学会等で発表するための旅費に使用する。
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Research Products
(10 results)