2012 Fiscal Year Research-status Report
新たな緑膿菌感染症の予防戦略-線毛の断片化ペプチドによるワクチンの開発
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23591152
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
門田 淳一 大分大学, 医学部, 教授 (50233838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平松 和史 大分大学, 医学部, 准教授 (80301381)
白井 亮 大分大学, 医学部, 助教 (60437837)
岸 建志 大分大学, 医学部, 助教 (20347024)
石井 寛 大分大学, 医学部, 助教 (60398146)
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Keywords | 緑膿菌線毛蛋白 / ペプチド / ワクチン / 樹状細胞 |
Research Abstract |
これまでの検討では緑膿菌線毛蛋白合成ペプチドによるマウス骨髄由来樹状細胞(JawsII)からの炎症性サイトカイン産生やJawsII細胞を介したナイーブT細胞の活性化は限定的であった。そのため平成24年度は、超遠心法やSDS-PAGEを用いて単離した精製緑膿菌線毛蛋白で刺激したJawsII細胞からのTNF-αやIL-12の産生を検討した。その結果、TNF-α、IL-12は各々976pg/ml、1836pg/mlとpositive controlであるLPS刺激群と同等に産生された。さらに精製線毛蛋白刺激はJawsII細胞のMHC-classII発現をpositive controlの緑膿菌PAO-1株破砕抗原群と同等に誘導した。精製線毛蛋白で刺激したJawsII細胞を0.75%ホルマリン処理後、C57BL/6マウスの脾臓から磁気マイクロビーズ法によって分離したナイーブT細胞と培養し、上清中のIFN-γ、IL-10濃度およびナイーブT細胞のBrdU取り込みを検討した。BrdUの取り込みはPAO-1株破砕抗原群やLPS刺激群に比べ低いものの、negative controlよりも上昇していた。ナイーブT細胞によるIFN-γの産生量はPAO-1破砕抗原群に比べると低いものの、LPS刺激群の3倍以上の産生量であった。IL-10はPAO-1破砕抗原群(146.2pg/ml)、negative control(7.5pg/ml)に対して、精製線毛蛋白刺激群では29.0pg/mlの産生量であった。 こうした結果は、これまでの検討で緑膿菌線毛蛋白合成ペプチド刺激では十分ではなかった樹状細胞の成熟化や樹状細胞を介したナイーブT細胞の活性化が、精製緑膿菌線毛蛋白では強く誘導されることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超遠心法やSDS-PAGE法を用いて緑膿菌から精製する線毛蛋白はごく微量であり、線毛蛋白の精製に当初想定した以上に時間を要した。そのためin vitroで精製線毛蛋白や合成ペプチドを用いて抗原刺激した樹状細胞をマウスに移入するin vivoでの検討が行えていないものの、研究全体としてはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
In vitroで精製緑膿菌線毛蛋白および合成ペプチドを用いて刺激した樹状細胞をマウスに投与し、緑膿菌感染症に対する感染防御効果を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度分の研究費でin vivoでの実験を推進するために、マウスの購入を行う。また平成23,24年度と同様にペプチド合成や細胞培養用培地、フローサイトメトリー用抗体などの消耗品を購入する。
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