2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23591226
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
濱田 千江子 順天堂大学, 医学部, 准教授 (50291662)
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Keywords | 肪幹細胞 / 被嚢性腹膜硬化症 / VEGF / TNF-α / IL-1β |
Research Abstract |
本研究は、クロルヘキシジンの持続腹腔内投与により誘導された腹膜線維症モデルラットに、GFP transgenic Ratのソ径部皮下脂肪組織から抽出した脂肪幹細胞を腹腔内投与し、線維化腹膜の修復に関し検討するものである。平成24年度の研究成果を以下に記す。 1:脂肪幹細胞抽出方法の確立:8週齢のGFP transgenic Ratのソ径部皮下脂肪組織から既知の方法に従って脂肪幹細胞を抽出し、5 ng /mlのbFGF添加培地にて培養した。得られた細胞は、骨細胞と脂肪細胞への分化を確認できた。更に、表面マーカーがCD10、CD29、CD44、CD73、CD90、CD105において陽性で、CD31、CD34、CD45において陰性であった。 2:腹膜線維化モデルラットの作成と脂肪幹細胞の腹腔内投与:8%クロルヘキシジンを持続シリンジポンプを用いて3週間腹腔内に投与し腹膜線維化モデルラットを作成した。コントロール群に比して有意な腹膜の肥厚を認め、腹膜組織から抽出したTGF-β、MMP-2などの繊維化関連因子のmRNAが有意に上昇していた。Day22とDay29の群に分け、脂肪幹細胞をそれぞれ腹腔内投与し、Day35で屠殺した。 3:腹膜肥厚と線維化関連因子の評価:移植後1週までGFP(+)の細胞を確認できた。腹膜肥厚は、移植細胞容量依存性に有意に改善した。移植1週後における、TNF-αやIL-1βなどの炎症性サイトカインが有意に抑制されていた。移植1週後における、MMP-2やVEGFなどの血管新生関連因子が有意に上昇し、それと並行し低酸素誘導因子であるHIF-1αの低下を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
移植した細胞の組織学的評価、つまり脂肪幹細胞の血管内皮細胞への分化や腹膜中皮細胞への分化、血管壁細胞への分化などを評価する予定であった。 抗炎症作用の理由を検討する予定であった。
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Strategy for Future Research Activity |
抽出・培養した細胞を、腹膜線維化モデルラットに投与したところ、移植細胞数依存性にその線維化の改善を認め、更に移植後早期の段階での炎症マーカーの抑制と血管新生関連因子の増加と低酸素の改善を認めた。 今後は、炎症マーカー改善と低酸素改善のメカニズムを検討する。抗炎症作用の成因としてはNF-κB経路の抑制をELISA法を用いて検索する予定である。低酸素改善の成因に対しては、移植幹細胞の血管内細胞や壁細胞への分化を確認する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
組織標本の作製、免疫蛍光染色用の抗体、PCR、統計ソフト等に研究費を使用する。また、抗炎症作用確認のためNF-κBの経路の抑制をELISA法を用いて確認する予定であり、 ELISA kitを購入予定である。移植細胞の分化能を蛍光抗体法を用いて確認する予定あり、各種抗体を購入する予定である。
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