2011 Fiscal Year Research-status Report
グリア新生と血管新生の両者を標的としたALS脊髄再生誘導
Project/Area Number |
23591229
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
割田 仁 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30400245)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 神経再生 / 運動ニューロン / 動物モデル |
Research Abstract |
本研究では、進行性の運動ニューロン変性に対して不十分ながら成体中枢神経系が本来もっている再生能力(内在性再生能)を生かし、効果的な神経再生誘導療法を開発するための基盤研究を行う。したがって本研究は、既存研究から示唆されるような筋萎縮性側索硬化症(ALS)変性脊髄における内在性再生能の存在と、介入なしにはなし得ない限界をふまえ、十分な神経再生につながらない要因、すなわち微小環境と成体脊髄に内在する神経幹/前駆細胞そのものの特性を解明することを目的としている。本年度の研究により、ALSモデルラット骨格筋では運動ニューロン軸索変性に伴う神経原性筋萎縮が慢性に進行する中で、内在性の骨格筋再生機転が存在していることが明らかとなった。数多い神経細胞の中で運動ニューロンは長大な軸索をもつ最も大きな細胞体を有している。その細胞外微小環境として中枢神経系の細胞体周囲のみならず、末梢の支配骨格筋における軸索終末周囲にも注目すべきと考えられる。将来的なALS再生誘導が機能再生をめざすものであるゆえに、運動ニューロン再生のみならず骨格筋再生促進と筋萎縮抑止による末梢からのアプローチもまた重要と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2011年3月11日の大震災により研究代表者の施設も甚大な被害を受け、復旧作業は数ヶ月以上にわたった。実際、本研究に使用する見込みであった既存の冷凍・冷蔵試薬類、アッセイ系の構築に必要な対照凍結サンプル(脳・脊髄組織,脳脊髄液等)などは数週間にわたる停電により、超低温庫や冷凍冷蔵庫が機能しなかったためすべて融解あるいは失活し喪失した。本研究に使用するため系統維持していたALSモデルラットも動物実験施設内で一定の期間 飼育管理が困難となり、動物数の縮小を余儀なくされた。以上の理由により当初の計画に比して進捗はやや遅れているが、その後は施設復旧後、試薬類の再購入、ALSモデルラットの繁殖・コロニー復元に努め、アッセイ系の再構築と対照凍結サンプルの取得を進めることができ、上記の成果を得るとともに、次年度研究推進の準備は整えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画で平成23年度実施予定であった「神経幹/前駆細胞に蛍光蛋白EGFPを発現するラットとALSモデルラットの交配」によるダブル・トランスジェニックラットの作製を実施し、運動ニューロン変性による神経幹/前駆細胞の挙動解明を行う。その後、当初計画で平成24年度実施予定であった研究を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画(平成24年度)の通り、上記推進方策に記載のダブル・トランスジェニックラットの組織学的解析と同ラット由来の神経幹/前駆細胞に関する細胞生物学的解析に使用する。
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Research Products
(4 results)