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2012 Fiscal Year Research-status Report

ALSにおけるOptineurinの神経細胞毒性に関する分子メカニズムの解明

Research Project

Project/Area Number 23591246
Research InstitutionHiroshima University

Principal Investigator

森野 豊之  広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (10397953)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 川上 秀史  広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (70253060)
Keywords神経分子病態学
Research Abstract

われわれは遺伝性筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因遺伝子として全く新規のOptineurinを同定した.この分子は炎症や細胞内輸送,オートファジーなど様々な分子メカニズムに関与している.本研究では,この遺伝子異常を持つ病態モデル細胞を用いて将来的には治療法の開発にも繋がるような細胞内分子機能を明らかにすることを目的とする.
昨年度までに患者の同意を得て皮膚由来の線維芽細胞を培養・増殖しYamanaka法によってiPS細胞を作成した.また,Optineurinのノックアウトマウス及び変異マウスを作成し,それから得られた線維芽細胞を不死化することによってOptineurinの細胞内機能を明らかにするためのシステムを構築した.併せて,in vivoでOptineurinがオートファジーに関与する役割を解析するため,ヒトLC3にGFPを結合させたトランスジェニックマウスを購入した.
当該年度はノックアウトマウスの戻し交配と変異マウスの遺伝的純化を進めるとともに,個体数の確保と行動学的および病理学的評価のための準備を行った.モデル細胞の系ではLC3をノックダウンした時のOptineurinの変化を見るためにLC3のsiRNAを行ったが,十分なノックダウンが行えておらず,現在TALENを用いてLC3をノックアウトした培養細胞系で再検討することを予定している.またOptineurinのリン酸化についても検討を行った.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の目的である,遺伝性ALSの病態モデル細胞の構築は予定通り進んでおり,患者皮膚由来の線維芽細胞を培養・増殖し,Yamanaka法によりiPS細胞を樹立することが出来た.今のところはOptineurinの異常に起因すると推定される封入体形成は確認されていないが,CCCP処理による脱分極によってミトファジーを誘導し,オートファジーの機構に異常が生じていないかを検討している.その際にLC3が代償性に働く可能性も否定出来ないため,LC3のsiRNAによるノックダウンを試みたが有効に発現量を減らすことができないため,代替の方法としてOptineurinのノックアウトから得られたES細胞やMEFにTALENによる遺伝子改変を加えてLC3をノックアウトする準備を行なっている.また,Optineurinのリン酸化については現在までのところALSとコントロールで明らかな差は認められていない.
モデル動物に関しては妊孕性に問題のある系統も存在するものの,概ね予定通りにノックアウトマウスの戻し交配と変異マウスの遺伝的純化が進んでいる.行動学的評価としてrotarodとfoot-printを行い,病理学的に細胞内ロジスティックスに関連する分子の解析を行うための準備が整ってきており,統計学的に有意差が検定できる程度のサンプル数を確保しているところである.

Strategy for Future Research Activity

当該年度の研究により,本研究課題を推進する上で必要な基盤は整い,少しずつ結果が出つつある状況である.遺伝性ALSにおける最近の報告から病態メカニズムにはmRNA調節障害とオートファジー機能障害の2つが主要な要素として働いていることが推測されており,Optineurinは後者に対する関与が大きい分子であることから,ミトファジーをはじめとするオートファジーの機能異常を培養細胞レベルと個体レベルで解析して行きたいと考えている.
従来からあるES細胞だけでなくiPS細胞を用いた疾患モデルは他疾患でも病態解明のツールとして有用であることが示されてきている.本研究でも運動ニューロンやアストログリアに分化させたiPS細胞やES細胞を用いて生化学的な検討を行う予定である.それから得られた結果を個体レベルで確認するために必要なモデル動物も並行して準備を進めており,逆に動物モデルの組織学的検討から得られた知見を細胞レベルで検証することも可能であるという双方向性の解析系を整備することで,より確実かつ効率的にALSの病態解明に迫れるのではないかと期待される.
具体的には,ALSの病態においてアストロサイトなどのグリア細胞が果たす役割が注目されているが,モデル動物の組織学的検討からグリアの質的・量的異常を明らかにしながら,疾患モデル細胞と正常対照から得られたESやiPSを運動ニューロンやアストロサイトに分化させ,それぞれ組み合わせを変えながら共培養する実験系などを解析していく予定である.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度の研究費の使用計画については,当初の予定通り疾患モデルiPS細胞とES細胞の分化誘導及びオートファジーの分子メカニズムを明らかにするための免疫組織化学的な検討に必要な成長因子や抗体などの購入に予算を配分する.また,並行して進めているOptineurinのノックアウトマウスと変異マウスの維持に必要な飼料や解析に必要な試薬などの購入も予定している.

  • Research Products

    (6 results)

All 2013 2012 Other

All Journal Article (2 results) Presentation (3 results) (of which Invited: 1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Optineurinの機能と病態2012

    • Author(s)
      川上秀史,吉澤明生
    • Journal Title

      Medical Science Digest

      Volume: 38 Pages: 376-377

  • [Journal Article] 筋萎縮性側索硬化症と遺伝子2012

    • Author(s)
      川上秀史
    • Journal Title

      BIO Clinica

      Volume: 27 Pages: 1034-1037

  • [Presentation] Cerebellar ataxia with SYNE1 mutation accompanying motor neuron disease.2013

    • Author(s)
      Y Izumi, R Miyamoto, H Morino, A Yoshizawa, K Nishinaka, F Udaka, M Kameyama, H Maruyama, H Kawakami
    • Organizer
      65th American Academy of Neurology Annual Meeting
    • Place of Presentation
      San Diego (USA)
    • Year and Date
      20130316-20130323
  • [Presentation] 筋萎縮性側索硬化症の新規原因遺伝子optineurinの同定2012

    • Author(s)
      丸山博文,伊東秀文,川上秀史
    • Organizer
      第53回日本神経学会学術大会
    • Place of Presentation
      東京
    • Year and Date
      20120523-20120525
    • Invited
  • [Presentation] ALS関連遺伝子のスクリーニング2012

    • Author(s)
      杉原勝宣,宮本亮介,鎌田正紀,森野豊之,丸山博文,川上秀史
    • Organizer
      第53回日本神経学会学術大会
    • Place of Presentation
      東京
    • Year and Date
      2012-05-25
  • [Remarks] 原爆放射線医科学研究所 分子疫学研究分野

    • URL

      http://home.hiroshima-u.ac.jp/epidem/blosxom.cgi/Contents/introduction.htm

URL: 

Published: 2014-07-24  

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