2014 Fiscal Year Annual Research Report
筋萎縮性側索硬化症に伴う認知機能障害における診断方法の確立
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23591284
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
市川 博雄 昭和大学, 医学部, 准教授 (70296953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 満 昭和大学, 医学部, 教授 (20161375)
金野 竜太 昭和大学, 医学部, 講師 (70439397)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / 前頭側頭葉変性症 / 病識欠如 / 書字障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
筋萎縮性側索硬化症患者(ALS)における認知機能障害を正確に把握することはこれまで困難であった.本研究では自己洞察の欠如および書字障害を含めた認知機能障害に加え脳画像を検討することを通して,同患者における認知機能障害を容易に把握できる検査法を確立していくための基礎を構築することを目的とした.検討で得られた結果を以下に示す. 1) 質問票を用いた自己洞察(病識)の評価が軽度の認知機能障害の検出に有用であり,脳画像検査における前頭側頭葉の萎縮程度と相関することが示された.また,自己洞察(病識)の欠如する部分はアルツハイマー病など他の認知症とは異なり,身体機能障害に対するものが多いことが示された. 2) ALS患者では明らかな知的機能障害がない際にも書字障害を認めることが少なくないことから,ALSにおける軽度の認知機能障害の検出には書字評価が有用であることが示された.なお,書字障害は仮名に顕著であることが多いが,仮名優位の障害を呈する患者のほかに,漢字優位の障害を呈する患者もみられ,仮名と漢字の障害には乖離みられることが示された.また,書字障害の特徴(仮名優位あるいは漢字優位)と認知症の臨床的特徴(脱抑制の有無)とに関連があることが示された. 5) 脳画像との比較においては,仮名および漢字の障害と前頭側頭葉萎縮の分布とが関連することが示された.一方,脳画像における脳萎縮の進行度は患者ごとに大きな相違があり,急速な進行を呈する患者もみられた. 6) 病識欠如と書字障害の程度との関連について検討し,両者は有意に相関することが示されたが,書字障害の内容によりその関係は一部異なっていた.ALSに伴う認知機能障害の病型によって病識欠如の程度と書字障害の内容および程度が異なることが示された.
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Research Products
(2 results)