2011 Fiscal Year Research-status Report
肝臓―膵β細胞間神経ネットワークを利用した膵β細胞増量治療の開発
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23591294
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今井 淳太 東北大学, 大学病院, 講師 (80431500)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 膵β細胞 / インスリン / 臓器間ネットワーク / 自律神経 |
Research Abstract |
これまでの我々の結果から、肝臓のERK経路の活性化によって起こった神経シグナルは膵島に分布する迷走神経を介して膵β細胞にインスリン分泌と細胞増殖を促すことが明らかになっている。そこで本研究では迷走神経由来因子が膵β細胞増殖を促す分子メカニズムを明らかにすることを目的とした。1.培養膵β細胞、単離膵島細胞増殖における迷走神経由来因子の効果膵島に分布する迷走神経の末端からは、アセチルコリンのほか、VIP、PACAP、GRPといったニューロペプチドが分泌されることが知られている。そこでマウス、ラットの単離膵島に上記4つの因子すべてを同時に作用させた際の細胞増殖を検討した。その結果、マウス、ラットいずれの単離膵島においてもBrdUの取り込みが著明に上昇したことから細胞増殖が亢進している可能性が示唆された。今後は細胞増殖に重要な因子をさらに絞り込むこと、膵島細胞を細胞種によって分別して検討することを予定している。2. 肝臓のERK経路を活性化したマウスの膵島における細胞内シグナルの検討肝臓ERK経路を活性化したマウスの単離膵島を用いてマイクロアレイ解析を行い、変動している遺伝子を網羅的に検討した。パスウェイ解析を行った結果、細胞周期に関連するパスウェイが大きく変化していることが明らかになった。この中でも細胞周期を正に制御する転写因子やリン酸化酵素の発現が増加していた。これらの発現増加は、単離膵島にニューロペプチドを作用させたin vitroの実験系においても観察された。今後はこれらの分子の本経路における関与について検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
迷走神経由来因子によって膵島細胞の増殖が亢進することが確認でき、本経路において膵β細胞増殖が亢進する上での鍵分子の候補を同定できたことから概ね順調に進展しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
同定した鍵分子の膵β細胞特異的ノックアウトマウスを作成して実験を進める。またラット膵島単離方法についても検討を行い、より効率的に多数の膵島を単離できるような密度勾配遠心分離法を検討する。さらに今後人員を増員して研究を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試薬、培養器具、細胞培養試薬、動物飼育器具、電気刺激用消耗品として700,000円を使用する。調査・研究費・成果発表のための国内旅費、外国旅費として200,000円を使用する。研究補助に対する謝金として100,000円を使用する。研究成果投稿料として100,000円を使用する。
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