2012 Fiscal Year Research-status Report
摂食抑制ペプチドNesfatinー1の細胞内及びインビボでの作用機構の解明
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23591296
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
橋本 貢士 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30396642)
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Keywords | Nesfatin-1 / 摂食抑制ペプチド / 細胞内シグナル伝達 / Nesfatin-1受容体 |
Research Abstract |
摂食抑制ペプチドNesfatin-1(NAP-1)の細胞内シグナル伝達経路を明らかにするために、今年度は種々の神経系培養細胞に既知のシグナル応答配列を付加したluciferase レポーターを遺伝子導入し、NAP-1添加によるレポーター活性を測定した。その結果マウス神経芽細胞腫由来のNB41A3細胞に、cAMP 応答配列 (CRE)レポーターの活性化を認めた。M30はNAP-1中央部付近の23-52アミノ酸からなるペプチドであるが、マウスへの投与で濃度依存性に摂食抑制作用を示す。M30はNB41A3細胞におけるCREレポーターも活性化した。しかしメラノコルチン3/4受容体のアンタゴニストであるSHU9119もしくはin vivoで摂食抑制効果のない変異M30ではこの活性化は消失した。さらにNAP-1はNB41A3細胞内のリン酸化CRE 結合蛋白(p-CREB)を増加させたが、細胞内cAMP濃度の増加は認めなかった。キナーゼ阻害薬を用いた実験により、MAPKおよびL型Ca channel blockerによりM30によるCREBリン酸化反応が消失することが判明した。マウス視床下部とNB41A3細胞の膜分画を用いて、125I-NAP-1によるレセプターアッセイを行うとKd値は各々約0.79nM、約0.165nMであり、NAP-1との特異的結合を認めた。一方、膵β細胞系培養細胞ではp-CREBはNAP-1濃度依存的に減少した。マウス視床下部及びNB41A3細胞にはNAP-1受容体の存在が示唆され、またNAP-1は同細胞においてMAPKもしくはL型Ca channelの作用を介してp-CREBを増加すると考えられた。膵β細胞ではNAP-1は中枢神経系とは異なるシグナル伝達経路を利用すると考えられ、NAP-1受容体による組織特異的細胞内シグナル伝達機構が存在することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は上記の結果を論文発表し(Ishida E, Hashimoto K, Shimizu H, Okada S, Satoh T, Kato I, Yamada M, Mori M 'Nesfatin-1 Induces the Phosphorylation Levels of cAMP Response Element-Binding Protein for Intracellular Signaling in a Neural Cell Line.' PLoS One 2012 7:e50918),世界に先駆けてNesfatin-1の細胞内シグナル伝達経路の新知見を報告した。また最新のデータを日本神経内分泌学会、日本糖尿病学会及び日本内分泌学会で発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、昨年度までの知見を基に、Nesfatin-1特異的受容体を単離することを試みる。すでに得られたデータから、Nesfatin-1特異的受容体はG蛋白共役型受容体(GPCR)である可能性が高く、いまだリガンドが同定されていないGPCR(Orphan GPCR)をChinese Hamster Ovary(CHO)細胞に発現させ、今年度使用したCREレポーターを用いてLuciferase assayでスクリーニングを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「該当なし」
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