2012 Fiscal Year Research-status Report
異所性脂肪の心臓血管病発症における病態生理学的意義の解明
| Project/Area Number |
23591314
|
|---|
| Research Institution | The University of Tokushima |
|---|
Principal Investigator |
島袋 充生 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 特任教授 (60271144)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
益崎 裕章 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00291899)
苅谷 研一 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40263371)
|
|---|
| Keywords | 異所性脂肪 / インスリン抵抗性 / 内臓肥満症 |
|---|
| Research Abstract |
（1）臨床疫学的研究：平成23年度の研究計画を継続実施。
（2）実験的臨床研究：平成23年度の研究計画 プロトコール１、プロトコール2の継続に加えて、プロトコール3：心臓手術症例で、心臓脂肪サンプリングを実施し、全身および心臓脂肪分布との関係を検証・実施した。冠動脈疾患を疑われる症例で、multi-slice computed tomography を施行し、心臓周囲脂肪を計測した。男性では、年齢とともに、心臓周囲脂肪量が蓄積する傾向があり、心臓周囲脂肪量蓄積が多い症例で、冠動脈プラークを有していたが、女性では、年齢による変化に乏しく、心臓周囲脂肪量蓄積と冠動脈プラークの関係も明らかではなかった（Cardiovasc Diabetol 2012;11:106）。冠動脈バイパス手術症例で、心臓周囲脂肪量の関与する程度を計算したところ、従来の心臓血管病リスク（男性、年齢、2型糖尿病）と同程度であることがわかった。さらに、心臓周囲脂肪のマクロファージ数、アディポサイトカイン発現量（IL1β、アディポネクチン）が、冠動脈バイパス手術の説明因子として最も強いことがわかった（Arterioscler Thromb Vasc Biol 2013）。
（3）遺伝子改変モデルおよび高脂肪食負荷モデル：平成23年度の研究計画を継続実施。
（4）モデル動物およびヒト組織のマイクロRNAおよびプロテオミクス解析：プロテオーム・トランスクリプトーム解析により、脂肪酸処理された培養血管内皮細胞ならびにヒトサンプルにおいて発現変動の顕著な遺伝子（産物）を一部同定した。当該分子の細胞内挙動および機能を一部明らかにした。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)臨床疫学的研究:プロトコール1:異所性脂肪分布様式と代謝マーカー(内臓脂肪分布、血圧、耐糖能異常、脂質代謝異常)、脂肪 細胞由来生理活性物質の関係を明らかにするための解析、プロトコール2:異所性脂肪の測定については、おおむね、計画通りに進行中である。プロトコール3: 脂肪分布様式と生活習慣病・心臓血管病発症の関係を前向きコホートにて調べている。2012年度9月までに追加症例の調査は完了し、データベース入力も順調に経過している。(2)実験的臨床研究:プロトコール1:異所性脂肪蓄積を有する症例および性、年齢をマッチ させた健常者での検討は解析を終了。論文作成、投稿にて論文掲載受理となった。心臓血管病のない症例(103例の手術時採取検体)て、脂肪分布様式と脂肪細胞て発現する炎症性シクナルの 相関も継続して調べている。プロトコール2:各種マーカーと全身および心臓脂肪分布との関係を検証中である。いずれも順調に経過している。
|
| Strategy for Future Research Activity |
プロテオーム・トランスクリプトーム解析により、脂肪酸処理された培養血管内皮細胞ならびにヒトサンプルにおいて発現変動の顕著な遺伝子（産物）を一部同定した。現在その分子挙動、細胞内機能を検索しており、当初予期した結果がえられつつある。
|
| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ヒト脂肪組織検体、心臓周囲脂肪検体で、各分子および転写因子（qPCR、miR、蛋白）の発現レベルおよび発現様式を解析する。モデル動物の血管・心筋組織のマイクロRNAおよびプロテオミクス解析で各分子の発現レベルを解析する。次年度繰越金で、ターゲット分子の培養細胞を用いた解析を実施する予定である。
|
