2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23591369
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
熊野 恵城 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90396721)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 白血病幹細胞 / iPS細胞 |
Research Abstract |
最初にヒト白血病・MDS症例由来の腫瘍細胞(以下、白血病細胞と表記)より、iPS細胞を作製するため、レトロウイルスを用いてOct3/4、Sox2、c-Myc、Klf4を同時に白血病細胞に導入し、3日後にMEFフィーダー上に継代、6日後からヒトES細胞培地で培養し、リプログラミングを行う。この方法により、われわれは昨年度に樹立に成功したCML患者細胞由来iPS細胞(以下CML-iPS細胞と表記)に加え、骨髄線維症(MF)や本態性血小板血症(ET)などの骨髄増殖性疾患においてiPS細胞化に成功した。またレトロウイルスを用いたiPS細胞の樹立では外来遺伝子がゲノムに挿入されてしまい、それにより腫瘍細胞の特性が変化してしまう可能性があるため、ゲノムに挿入されずにiPS細胞の樹立が可能であるsendai virusの系を用いてCML患者検体よりiPS細胞の樹立に成功した。白血病iPS細胞からの造血細胞への誘導には、ES細胞で用いられている造血細胞への分化誘導方法を利用した。OP9細胞や10T1/2細胞などの間葉系細胞株との共培養法を用いて、ヒトiPS細胞から多能性の血液前駆細胞を濃縮する嚢状の構造物(iPS cell-derived sac)を誘導し、さらに内部の血液前駆細胞を解析する方法を用いた。得られた細胞は血液細胞のマーカーであるCD45と未分化マーカーであるCD34を発現していた。これらの細胞は造血コロニー形成能が認められ、bcr-ablの発現が確認されimatinibに対する感受性があり、原病のCMLのモデルとしての適格性を持つと考えられた。しかしながら誘導された血液細胞の中でCD34+CD38-CD90+の未分化な細胞集団はimatinibに対して抵抗性を示しCML幹細胞の特性を示した。今後このimatinib抵抗性の分子機構について検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CML由来iPS細胞からimatinib耐性という白血病幹細胞と同様な表現型を持つ細胞を誘導することができた。今後はその耐性機構の分子メカニズムついて検討予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ骨髄増殖性疾患以外の急性白血病症例においてはiPS細胞化に成功していない。造血器腫瘍細胞由来の場合は、さまざまなエピゲノムの変化により正常体細胞と比較してiPS細胞の樹立が困難である可能性があると考えられ、iPS細胞の樹立を促進することが知られている小分子化合物(バルプロ酸や酪酸など)の添加やshRNAによるp53経路の阻害を試みたが、依然として樹立には至っていない。さらにリプログラミングを促進する遺伝子としてLIN28, Glis1などの遺伝子群の追加導入によりiPS細胞の樹立を試みたが、不完全にリプログラミングされたコロニーを得るに留まった。そこで来年度は白血病の原因となる遺伝子異常そのものが、iPS細胞化を妨げる可能性もあるので、既知の遺伝子異常を持つものに関しては、それらをレンチウィルスによる誘導的なshRNAを用いて一過性に抑制することによりiPS細胞化を試みる。このようにして、病型に応じた最適なリプログラミング法を確立することを目指す。CML-iPS細胞より誘導されたCD34+CD38-CD90+の未分化な細胞集団はimatinibに対して抵抗性を示しCML幹細胞の特性を示した。一方CD34-の分化した血液細胞はimatinibに対して感受性を示し、今後このimatinib抵抗性の分子機構について検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記のように急性白血病症例のiPS細胞の樹立とCML白血病幹細胞のimatinib耐性の分子機構についての検討を行う。白血病幹細胞に特異的なシグナル伝達機構を同定し、それに対する分子標的療法や、白血病幹細胞特異的な細胞表面分子に対する抗体療法などの開発をめざす。またMDSについても白血病の場合と同様にこれらの異常が再現できるか、特にもとの疾患同様の表現型を示すかを同様に解析する。そこから患者検体からはさらに入手困難であるMDS幹細胞についての解析を行う。
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Research Products
(4 results)