2011 Fiscal Year Research-status Report
EBV陽性TおよびNK細胞リンパ増殖症発症機構の解明と治療法の開発
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23591375
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
新井 文子 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (70359678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今留 謙一 独立行政法人国立成育医療研究センター, 母児感染研究部, 室長 (70392488)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | Epstein-Barr Virus / EBV陽性T、NK細胞リンパ増殖症 / CD137 / NF-κB / 慢性活動性EBウイルス感染症 |
Research Abstract |
具体的内容:1) 慢性活動性EBウイルス感染症モデルマウスを作成しPLoS Pathog誌に論文報告した。2) EBV陽性T、NK細胞リンパ増殖症発症におけるCD137分子の役割を解明し、第16回欧州血液学会年次総会で発表した。EBV陽性T、NK細胞株およびCAEBV患者細胞を解析し、これらの細胞では細胞表面のCD137発現がEBV陰性細胞に比べ亢進していることを見出した。またT細胞へのEBV感染実験を行い、EBVはTおよびNK細胞においてLMP1を介してCD137発現をもたらす事を解明した。さらにEBV陽性TおよびNK細胞ではCD137リガンドによるCD137刺激でNF-κBが活性化しapoptosisが抑制されることを見出し、腫瘍発症の一因となりうることを見出した。3) EBVによるNF-κB活性化はT、NK細胞腫瘍発症の治療標的となりうることを解明し第73回日本血液学会総会で発表した。EBV陽性T、NK細胞株およびCAEBV患者細胞で、NF-κBが恒常的に活性化していること、活性化はEBV感染によりLMP1を介して行われることを示した。さらに NF-κBの阻害剤Bortezomibはこれらの細胞においてNF-κB を抑制、apoptosisを誘導し、CAEBVモデルマウスでの腫瘍進展を抑制することを見出した。意義および重要性:これらは、EBVがEBV陽性T、NK細胞リンパ増殖症発症に直接関与することを示した初めての報告である。さらにin vivoおよびin vitroでの検討でNF-kBが治療標的となりうることも示した。これらの結果をもとに、現在BortezomibのCAEBVに対する治療効果検討の臨床試験を計画しており、新規治療法開発に直接つながる結果を示した点で意義深く重要であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床検体の収集は十分行えた。また、それらを用いたEBVによるEBV陽性T、NK細胞リンパ増殖症発症メカニズムの細胞レベルでの解析については、EBV陽性T、NK細胞リンパ増殖症腫瘍細胞でのNF-kB恒常的活性化とそのメカニズムおよびCD137の発現と腫瘍発症における機能を上記に示すとおりに解明でき、結果を学会で発表し、論文作成を開始することができた。よって平成23年度の目標はほぼ達成できたと考え、標記の達成度と判断した。一方で、発症の素地となる、個体の免疫学的、遺伝学的特徴などについては、モデルマウスを作成し論文発表はおこなったが、その詳細な解析にはさらに検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
EBVによるT、NK腫瘍発症メカニズムについて、発症の背景に存在する宿主因子(免疫異常、遺伝学的異常)について、24年度以降解明し結果を発表する。具体的には、以下を解析する。病理組織の検討:患者の病変部組織の腫瘍細胞以外に注目し通常リンパ球マーカーの他FOXp3、TIA1,Perforin,GranzymeB等の染色を行いフェノタイプを解析する。CD137Lを含む共刺激分子、接着因子も解析し、腫瘍細胞との細胞間の関係を明らかにする。患者血清の解析:可溶性CD137Lの血液中濃度を解析し、疾患の型や状態との関連を解析する。さらにサイトカインアレイ解析(前述)を行い疾患に特異的、病状を反映するサイトカインを同定する。患者末梢血リンパ球解析:末梢血から分離した非感染リンパ球分画について、腫瘍細胞、非腫瘍細胞分画ごとのRNAをGeneChipⓇ 3’Expression Arrayで網羅的に解析し発症に関わる分子を同定する。また、CAEBVモデルマウスを用い、臨床所見、病変部位、組織所見、血液中腫瘍細胞・ウイルス量を経時的に詳細に解析する。さらに以上で明らかになった発症機構をもとにモデルマウスを用いて新規治療法を開発する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度以降、経費として予定している項目は、以下に示すように、試薬を中心とした消耗品とマウスの費用である。試薬は主にサイトカイン、抗体、阻害剤、核酸(siRNAとその細胞導入用キット)、各種酵素(遺伝子組み換えに必要)、EMSAキット、Reporter assay用キット、アレイ解析用キット(サイトカイン、DNAおよびmiRNA)である。Western blot用品は細胞内の蛋白解析に用い、各種抗体、発光試薬、レントゲンフィルムである。細胞培養は培養液に加え、培養フラスコ等である。その他ブラスチック用品として、エッペンドルフチューブ、ディスポーザブルピペット、チューブ、シャーレ等である。これらは実験を施行する際に必要不可欠な道具であり、材料である。また、モデルマウス作成にあたってはヒト細胞を移植するため免疫不全マウス、NOD/Shi-scid,IL-2Rrnull(NOG)マウスを実験動物中央研究所より供給をうけて使用する。これはSPFでの飼育が必要であること、またP1Aにあたるため廃棄に当たっては業者に委託するため、飼育維持、処分に必要とする額である。
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[Journal Article] Recurrence of chronic active Epstein-Barr virus infection from donor cells after achieving complete response through allogeneic bone marrow transplantation2012
Author(s)
Arai A, Imadome K, Wang L, Wu N, Kurosu T, Wake A, Yamamoto H, Ota Y, Harigai M, Fujiwara S, Miura O
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Journal Title
Int Medicine
Volume: 51(7)
Pages: 777-82
Peer Reviewed
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[Journal Article] Novel mouse xenograft models reveal a critical role of CD4+ T cells in the proliferation of EBV-infected T and NK cells.2011
Author(s)
Imadome K, Yajima M, Arai A, Nakazawa A, Kawano F, Ichikawa S, Shimizu N, Yamamoto N, Morio T, Ohga S, Nakamura H, Ito M, Miura
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Journal Title
PLoS Pathog.
Volume: 7
Pages: 1-14
DOI
Peer Reviewed
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