2012 Fiscal Year Research-status Report
EBV陽性TおよびNK細胞リンパ増殖症発症機構の解明と治療法の開発
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23591375
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
新井 文子 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (70359678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今留 謙一 独立行政法人国立成育医療研究センター, 母児感染研究部 感染防御研究室, 室長 (70392488)
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Keywords | EBV陽性T、NK細胞リンパ増殖症 / Epstein-Barr Virus / integrin / 炎症性サイトカイン産生 |
Research Abstract |
具体的内容: ① EBV感染T細胞におけるintegrin発現 EBVをMOLT4にin vitroで感染させると細胞表面にCD29,CD49dの発現が誘導され、リガンドであるfibronectin (FN) への接着が亢進した。FNへの接着によるCD29、CD49dの活性化によって EBV陽性T/NK細胞では細胞内分子シグナル、いわゆるoutside-in signalが活性化し、VP-16による細胞死は抑制された。以上からEBVはT/NK細胞においてintegrinの発現誘導を介し腫瘍化に働くと考えられた。 ② EBV-T/NK-LPDにおける炎症性サイトカイン産生 EBV-T/NK-LPD患者でINF-γ、IL-6、and TNF-αの血清中の濃度が健常者に比べ高値をしめした。EBVのin vitro感染によりMOLT4ではこれらの産生が亢進することが示された。さらにinfliximab やtocilizumabはVP-16による抗腫瘍効果を亢進させた。以上からEBV-T/NK-LPD ではEBV陽性T/NK細胞による炎症性サイトカイン産生が亢進しており、病態形成に寄与していること、さらに治療標的となりうることが示された。 意義および重要性: 昨年度、私たちはEBV感染によりT、NK細胞ではNF-kBが活性化し細胞が不死化することを見出し、EBVがEBV-T/NK-LPD発症に直接関与することを解明した。本年度は、疾患発症の環境に焦点をあて、integrinを介した周囲の細胞や基質、さらに炎症性サイトカインによる腫瘍細胞の刺激が発症に関与すること、特に炎症性サイトカインの抑制は治療へ応用しうることを明らかにした。EBVによるT,NK細胞腫瘍発症のメカニズムが解明されたことで、EBV-T/NK-LPDがひとつの疾患単位である科学的裏付けがなされたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年までの研究で明らかにした以下の2点、①EBV-T/NK-LPDの発症におけるCD137の関与(EBV陽性T、NK細胞細胞ではEBV感染により細胞表面のCD137発現がEBV陰性細胞に比べ亢進していること、EBV陽性TおよびNK細胞ではCD137リガンドによるCD137刺激でNF-κBが活性化しapoptosisが抑制され腫瘍発症の一因となりうる)、②EBV-T/NK-LPDの化学療法抵抗性におけるMDR1の関与(EBV陽性T、NK細胞細胞ではEBV感染によりMDR1が発現し薬剤抵抗性に寄与する)については論文作成、投稿中である。 さらに、本年度はEBウイルス感染腫瘍細胞のみならず、周囲の環境に注目し、サイトカインおよび接着因子を介した細胞制御について検討、結果を学会で発表し、論文作成を開始することができた。よって平成24年度の目標はほぼ達成できたと考え、標記の達成度と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きEBV感染腫瘍細胞、および発症の背景に存在する宿主因子(免疫異常、遺伝学的異常)について解明していく予定である。具体的には、以下を解析する。 EBV感染によるT,NK細胞腫瘍化機構の分子機構:EBV感染によりNF-kB活性化により不死化したT,NK細胞が、さらに遺伝子変異を獲得し腫瘍として進展していく際の分子機構に注目し、EBVの働きを中心に検討を予定している。 背景因子の解析:末梢血から分離した非感染リンパ球の機能について解析し、疾患発症の背景に存在する免疫機能の異常を解明する。また腫瘍細胞、非腫瘍細胞分画ごとのRNAをGeneChipⓇ 3’Expression Arrayで網羅的に解析し発症に関わる分子を同定する。 EBV-T/NK-LPDモデルマウスの詳細な解析: 臨床所見、病変部位、組織所見、血液中腫瘍細胞・ウイルス量を経時的に詳細に解析する。さらに以上で明らかになった発症機構をもとにモデルマウスを用いて新規治療法を開発する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度以降、経費として予定している項目は、以下に示すように、試薬を中心とした消耗品とマウスの費用である。 試薬は主にサイトカイン、抗体、阻害剤、核酸(siRNAとその細胞導入用キット)、各種酵素(遺伝子組み換えに必要)、EMSAキット、Reporter assay用キット、アレイ解析用キット(サイトカイン、DNAおよびmiRNA)である。Western blot用品は細胞内の蛋白解析に用い、各種抗体、発光試薬、レントゲンフィルムである。細胞培養は培養液に加え、培養フラスコ等である。その他ブラスチック用品として、エッペンドルフチューブ、ディスポーザブルピペット、チューブ、シャーレ等である。これらは実験を施行する際に必要不可欠な道具であり、材料である。 また、モデルマウス作成にあたってはヒト細胞を移植するため免疫不全マウス、NOD/Shi-scid,IL-2Rrnull(NOG)マウスを実験動物中央研究所より供給をうけて使用する。これはSPFでの飼育が必要であること、またP1Aにあたるため廃棄に当たっては業者に委託するため、飼育維持、処分に必要とする額である。
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Research Products
(18 results)
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[Journal Article] Recurrence of chronic active Epstein-Barr virus infection from donor cells after achieving complete response through allogeneic bone marrow transplantation2012
Author(s)
Arai A, Imadome K, Wang L, Wu N, Kurosu T, Wake A, Yamamoto H, Ota Y, Harigai M, Fujiwara S, Miura O
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Journal Title
Int Medicine
Volume: 51(7)
Pages: 777-82
Peer Reviewed
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[Presentation] Four cases of Helicobacter cinaedi bacteremia complicating hematological malignancies2012
Author(s)
Shinya Ishida、, Masahide Yamamoto, 、Daisuke Watanabe, Yusuke Nakamura, Toshikage Nagao, Tehtsuya Kurosu, Tehtsuya Fikuda, Naomi Murakami, Shuji Tohda, Ayako Arai, Osamu Miura
Organizer
第74回日本血液学会総会
Place of Presentation
京都
Year and Date
20121019-20121021
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