2011 Fiscal Year Research-status Report
ウイルス癌蛋白を標的とした成人T細胞白血病に対する治療薬の作用機構
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23591376
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
藤井 雅寛 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30183099)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ATL / ストレス顆粒 / 亜ヒ酸 / アポトーシス |
Research Abstract |
亜ヒ酸は成人T細胞白血病(ATL)由来のT細胞株にアポトーシスを誘導し、このアポトーシスに対する感受性は、他のT細胞株(Jukat、MOLT4)よりも昂進していた。このアポトーシスを制御する分子としてUSP10蛋白を同定した。USP10遺伝子のノックアウトマウスを樹立し、USP10遺伝子欠損細胞株を樹立した。USP10遺伝子の欠損は亜ヒ酸によるアポトーシスを昂進した。このアポトーシスは、NAC(N-acetyl cystein)(抗酸化物質グルタチオンの前駆体)により完全に抑制されたことから、ROS依存性であることが示された。USP10の欠損細胞では、亜ヒ酸によるROSの産生が昂進していた。また、USP10欠損細胞では亜ヒ酸によるストレス顆粒(stress granules; SGs)の形成が低下していた。SGの形成能とROSの低下の関連について検討したところ、SG形成がROSを低下させることが示された。即ち、SGの形成に必須の役割を果たすG3BP1を過剰発現すると、亜ヒ酸なしにSGが誘導されたが、このときにもSG形性細胞に一致して、ROSが低下した。さらに、熱ショックもROSを低下させ、このROSの低下もSG形成と一致して観察された。USP10とG3BP1は細胞内で複合体を形成していた、また、この結合がSGの形成、ROSの低下、アポトーシスの抑制に関与することがUSP10の変異体を用いた解析から示された。ATL細胞株はSG形成能が低下しており、このことが、亜ヒ酸によるアポトーシスを昂進させていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1、亜ヒ酸がATL細胞にROS依存性にアポトーシスを誘導することを見出した。2、亜ヒ酸に対するATL細胞の感受性を規定する細胞因子としてUSP10、G3BP1とストレス顆粒を同定した。また、USP10とG3BP1がいかにして亜ヒ酸によるアポトーシスを制御するのか、その分子機構の一部を解明した。
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Strategy for Future Research Activity |
1、亜ヒ酸によるアポトーシスの分子機構をさらに詳細に明らかにする。2、なぜ、ATL細胞ではストレス顆粒形成が低下しているのかについて明らかにする
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1、USP10欠損マウスの解析のためのマウスの飼育費2、アポトーシスの分子機構の解明のために、培養細胞の解析を行う(培養プラスチック、血清など)。アポトーシス定量のための試薬。3、USP10,G3BP1等の細胞内局在を検討するために各種抗体を使用する。
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Research Products
(10 results)