2011 Fiscal Year Research-status Report
自己免疫疾患発症におけるSoxファミリー分子の役割の解明
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23591432
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
須藤 明 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50447306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 浩太郎 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (90554634)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | Th17 / c-Maf |
Research Abstract |
自己免疫疾患は人口の約5%が罹患する多因子疾患であり、遺伝的素因を持つ個体にウィルス感染などの環境要因が加わることにより発症すると考えられているが、その分子基盤は依然不明である。ステロイド薬や免疫抑制薬に加え、近年では生物学的製剤による治療法が進歩し、一定の予後の改善がもたらされているが、未だ特異的治療法は存在しない。近年、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を用いた解析により、自己免疫疾患の発症にIL-17やIL-21を産生し病態の惹起に寄与するTh17細胞と抑制性に機能する制御性T細胞(Treg細胞)との分化バランスが深く関与することが明らかにされた。そしてTh17細胞の分化にはIL-6またはIL-21によるSTAT3の活性化とmaster regulatorであるRORγtの発現が必須であることが報告されている。本研究者は、IL-6で刺激したT細胞の遺伝子発現プロファイルを検討し、SRY- related HMG box-containing gene family (Soxファミリー)に属する転写因子Sox5および転写因子c-Mafが高発現していることを見出した。そして、c-Mafは直接IL-21のpromoter及びenhancerに結合しIL-21の転写を促進することを明らかにした 。次に、Sox5やc-Mafの過剰発現およびSox5欠損マウスやc-Mafのノックダウンを用いた解析により、これらの転写因子がTh17細胞分化 においても重要な役割を果たしていることを見いだした。さらにIL-21受容体欠損マウスを用いた解析により、Sox5やc-MafによるTh17 細胞分化はIL-21非依存的な経路でも誘導されることを見いだしている。今後、Sox5とc-MafによるTh17細胞誘導の詳細な分子メカニズムを検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の平成23年度の研究計画であるTh17細胞分化におけるSox5とc-Mafの役割の解明がほぼ完全に終了しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、研究計画1.のTh17細胞分化におけるSox5とc-Mafの役割の解明について引き続き行っていく。さらに研究計画2の制御性T細胞分化におけるSox12の役割の解明を行っていく。すでに研究計画2のin vitroにおける実験の大半は終了しており、今後の実験に必要なSox12欠損マウスも準備されている。Sox12欠損マウスのバッククロスが終了次第、in vivoでの実験を開始し、世界に先駆けて自己免疫疾患発症におけるSoxファミリー分子の役割の解明できると確信している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
既に本研究者は、CD4陽性T細胞にSox12を発現させるとFoxp3の発現が誘導されることを見出している。そこでH24年度の研究では以下の解析によりiTreg細胞の分化におけるSox12の役割を解析する。1) Foxp3発現誘導におけるSox12の役割の解明 a)iTreg細胞分化誘導条件下でSox12のノックダウンを行い、Foxp3の発現レベルへの影響を検討する。b)Foxp3のプロモーターおよびCNS1~3のエンハンサーのレポーターコンストラクトを用いてSox12のFoxp3転写に対する作用を検討する。2) Foxp3発現の安定性におけるSox12の役割の解明 iTreg細胞におけるFoxp3の発現は不安定であり、純化したFoxp3陽性細胞を免疫不全マウスに移入した場合、約半数の細胞でFoxp3の発現が消失することが報告されている。Sox12の過剰発現によりFoxp3の発現が安定する可能性を検討するため、Thy1.1陽性Foxp3humanCD2レポーターマウスからCD4陽性T細胞を調整し、Sox12レトロウィルスあるいはコントロールレトロウィルスを感染させた後、Th1.2陽性CD25陰性CD4陽性T細胞と共にRag-2欠損マウスに移入する。細胞移入4週後にレシピエントマウスのリンパ節や脾臓におけるThy1.1陽 性CD4陽性T細胞のFoxp3humanCD2の発現を検討する。研究費は主に上記研究の消耗品費(酵素、培養液、ウシ血清、抗体など)として使用予定である。
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[Journal Article] Lack of B and T lymphocyte attenuator exacerbates autoimmune disorders and induces Fas-independent liver injury in MRL-lpr/lpr mice.2011
Author(s)
Oya Y, Watanabe N, Kobayashi Y, Owada T, Oki M, Ikeda K, Suto A, Kagami S, Hirose K, Kishimoto T, Nakajima H.
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Journal Title
Int Immunol.
Volume: 23
Pages: 335-44
DOI
Peer Reviewed
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