2011 Fiscal Year Research-status Report
インターロイキン17産生ヘルパーT細胞への分化に伴う細胞表面糖鎖構造の変化
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23591438
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
大水 総一 香川大学, 医学部, 助教 (00444729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平島 光臣 香川大学, 医学部, 教授 (70109700)
仁木 敏朗 香川大学, 医学部, 助教 (40558508)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | Th17細胞 / ガレクチン9 / 糖鎖 |
Research Abstract |
βガラクトシド結合性レクチンであるガレクチン9はナイーブヘルパーT細胞から、Th17細胞への分化を抑制する。これまでの検討から、ナイーブヘルパーT細胞から、Th17細胞への分化誘導18から24時間後から現れたガレクチン9リガンド(糖鎖)とガレクチン9の結合により分化が抑制されることが明らかとなった。この際、既存の糖鎖が何らかの修飾受けた結果ガレクチン9リガンドとなる場合と、新たに合成された糖鎖がガレクチン9リガンドとなる可能性が考えられた。該当年度では、Th17細胞分化誘導により新たに糖鎖が合成される可能性の検討を行った。 糖タンパク質に対する糖鎖の結合様式には、N結合とO結合の2種類がある。そこナイーブヘルパーT細胞から、Th17細胞への分化誘導する細胞培養系に、N結合型糖鎖付加阻害剤(Swainsonine)またはO結合型糖鎖付加阻害剤(Benzyl-N-acetyl-α-galactosaminide)を添加することによりガレクチン9による分化阻害作用に対する影響を検討した。 培養液中にO結合型糖鎖付加阻害剤を添加した場合、ガレクチン9によるTh17細胞分化阻害が部分的に抑制された。しかしながら、N結合型糖鎖付加阻害剤を添加した場合、ガレクチン9によるTh17細胞分化阻害に影響はみられなかった。これらの結果から、ある新規に合成されるO結合型糖タンパク質とガレクチン9の結合によりTh17細胞への分化が阻害されることが示された。しかしながら、この作用が部分的なものあったことから、他の経路の存在つまり既存の糖鎖が何らかの修飾受けた結果ガレクチン9リガンドとなる可能性も浮上してきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
該当年度の目的である、「糖鎖構造の変化機構の解析(その1)培養後、新たに糖鎖が合成される可能性の検討」について結果が十分に得られたため。さらにもう一つの課題「単一細胞レベルでの表面糖鎖のプロファイリング法の開発」に関しても当初の目的である、レクチンの調整や標識および実験条件の検討を行ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
該当年度の結果により、ガレクチン9によるナイーブヘルパーT細胞からTh17細胞への分化抑制には、新たに合成されるO結合型糖鎖が原因であるものの他に、既存の糖鎖が何らかの修飾受けた結果ガレクチン9リガンドとなる可能性があげられた。 ほ乳類の場合、βガラクトシドの末端にシアル酸が結合している。シアル酸が結合したβガラクトシドの場合、ガレクチン9の親和性は非常に弱い。最近の報告で細胞膜表面にノイラミニダーゼと呼ばれるシアル酸解離酵素が存在することが報告されている。そこでTh17細胞への分化に伴いシアル酸が解離しガレクチン9結合性の高いリガンドとなることが考えられた。そこでまず、糖鎖末端のシアル酸に対して結合能をもつレクチンである、SNA等を蛍光色素でラベルしフローサイトメトリーにより、Th17細胞への分化に伴いシアル酸が解離しているかどうかを検討する。末端端シアル酸の遊離が確認された場合、ノイラミニダーゼにより元来存在した糖鎖のシアル酸が遊離される可能性を検討する。Neu1、Neu3、Klotho等のノイラミニダーゼはこれまで膜表面に存在することが確認されている。そこで、Th17細胞へ分化誘導し24時間後のNeu1、Neu3やKlothoの細胞膜表面での発現をそれらの抗体を用いてフローサイトメトリーで確認する。さらにこれらに対する阻害抗体や阻害剤を用いることにより、ガレクチン9のTh17細胞分化阻害作用が消失するか否かを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当年度は"特別経費(プロジェクト分)「香川グライコリソース(希少糖・ヒト型糖鎖)を用いたナノ糖質生命科学研究推進事業」"および"特色ある重点領域研究「医工学融合技術を用いた細胞シグナルの分子標的薬科学の創出」"からの経費も用いて研究を遂行したため、繰越金が発生した。次年度はこれらの補助金はなく、該当年度の総経費から予想される次年度の総経費は繰越金を含む次年度の経費で過分なく研究が遂行できると考えている。研究遂行にあたって設備備品は一式そろっているので、研究に直接関わる経費、特に消耗品の費用が必要となる予定である。
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Research Products
(2 results)