2011 Fiscal Year Research-status Report
関節リウマチにおけるスフィンゴシン1リン酸レセプター3(S1P3)の働き
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23591445
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
河野 正孝 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60405256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 博 京都産業大学, 公私立大学の部局等, 教授 (90113141)
川人 豊 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50336731)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | スフィンゴシン1リン酸 / S1P3レセプター / 関節リウマチ / コラーゲン誘導関節炎 |
Research Abstract |
関節リウマチは数多くの炎症性サイトカインやケモカインがその病態に関与することが知られているが。本研究は炎症に関与するS1PシグナルはS1P3レセプターを介し炎症惹起に働くことを明らかにすること、またそのメカニズムを解明しS1P3の阻害薬や遺伝子発現抑制が炎症性疾患の新たな治療ターゲットになることを示すことを目的としている。まず、平成23年度の計画・方法に基づき、S1P3ノックアウト(KO)マウスを確立した。C57BL/6および129/svの背景を持つS1P3 KOマウス(Kono M, et al. J Biol Chem. 2004;279: 29367)に対し関節炎に適したDBA/1Jマウスを9世代以上backcrossし、S1P3+/-の雄及び雌を交配し生まれた野生型(WT)及びKOマウス及びその子孫を実験に用いた。II型コラーゲンを第1日、完全型アジュバントを第1日及び第21日に接種することで関節炎を誘導し、第42日まで観察した後屠殺、関節炎の程度は各四肢の関節炎の程度を4段階にスコア化しその合計点数で評価した。屠殺後、関節炎組織をホルマリン固定または凍結保存を行った。関節炎スコア及びH&E染色では関節炎の程度はWTマウスに比べ、KOマウスで軽微な傾向を認めた。これはS1P3レセプターが炎症惹起に働いている可能性を示唆しており、非常に意義深いと考える。実験結果の恒常性を確認する目的で、現在マウスの匹数を増やし複数回の関節炎実験を施行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初平成23年度に予定していた、RA患者関節組織でのS1P3の発現の検討及びRA患者滑膜細胞におけるS1P3シグナルの検討に関しては、現在進行中であるがまだ充分な知見を得るには達していない。発現の検討についてはヒト組織での抗S1P3ポリクローナル抗体の反応性の不安定さにより発現分布の評価が困難であることが主な原因である。滑膜培養細胞における検討は現時点で検体数の不足による部分が大きい。これは予想よりも整形外科での手術症例数が少なかったことも原因の一つである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に引き続き24年度もコラーゲン誘導関節炎モデル実験を実施する。RA患者関節組織でのS1P3の発現の検討においては、条件設定を変えることや他の抗S1P3抗体を用いることで免疫組織化学における最適な条件を検討し、発現分布および発現程度を検討する予定である。RA患者滑膜細胞におけるS1P3シグナルの検討に関しては、24年度も引き続き手術検体からの細胞確立を行う。確立した滑膜培養細胞に対しS1Pを反応させ、細胞増殖効果、細胞遊走能の検討を行う。また各種サイトカイン、ケモカインの産生をELISA法にて検討、リアルタイムRT-PCR法を用いサイトカイン、ケモカインの遺伝子発現を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
薬品類(免疫組織化学試薬,PCR関連試薬,Western blot関連試薬)、注射器、ガラス器具、チューブ類及びマウス管理費として研究費を使用予定。また学会発表を行う予定であり、学会参加費にも使用予定である。。
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