2012 Fiscal Year Research-status Report
関節リウマチにおけるスフィンゴシン1リン酸レセプター3(S1P3)の働き
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23591445
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
河野 正孝 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60405256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 博 京都産業大学, 工学部, 教授 (90113141)
川人 豊 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50336731)
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Keywords | スフィンゴシン1リン酸 / S1P3レセプター / 関節リウマチ / コラーゲン誘導関節炎 |
Research Abstract |
関節リウマチは数多くの炎症性サイトカインやケモカインがその病態に関与することが知られている。また近年、炎症におけるS1Pの重要性が指摘されており、関節リウマチ患者の滑膜においてはS1Pレベルが上昇し、S1P1を介したS1Pシグナルが滑膜増生を促進している可能性が指摘されている。本研究は炎症に関与するS1PシグナルがS1P3レセプターを介し炎症惹起に働くことを明らかにすること、またそのメカニズムを解明しS1P3の阻害薬や遺伝子発現抑制が炎症性疾患の新たな治療ターゲットになることを示すことを目的としている。 前年度に引き続き、コラーゲン誘導関節炎の評価を行った。C57BL/6および129/svの背景を持つS1P3ノックアウト(KO)マウス(Kono M, et al. J Biol Chem. 2004;279: 29367)に対し関節炎に適したDBA/1Jマウスを9世代以上backcrossし、S1P3+/-の雄及び雌を交配し生まれた野生型(WT)及びKOマウスとその子孫を実験に用いた。コラーゲン誘導関節炎を作成し、第42日まで関節炎の程度を観察した後屠殺した。関節炎は各四肢の関節炎の程度を4段階にスコア化しその合計点数で評価した。屠殺後、関節炎組織をホルマリン固定し組織をH&E染色及びS1P3による免疫組織化学で評価した。 関節炎スコアによる関節炎の程度はWTマウスに比べ、KOマウスで有意に減弱していた。H&E染色において細胞浸潤、軟骨破壊、骨びらんの程度を評価したところ、WTマウスに比べ、KOマウスで軽微な傾向を認めた。免疫組織化学ではS1P3は滑膜線維芽細胞、血管内皮細胞、浸潤単核球に発現を認めた。 これらの結果はS1P3レセプターシグナルが関節炎の惹起に関与し、関節炎における治療ターゲットとなる可能性を示唆するものであり、非常に意義深いと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コラーゲン誘導関節炎における関節炎の程度については、関節炎スコア及び組織学的評価で野生型マウスに比べてS1P3KOマウスにおいて減弱することが示された。このことは関節炎においてS1PシグナルがS1P3レセプターを介し炎症惹起に働くことを明らかにするものである。この結果からはS1P3の阻害薬や遺伝子発現抑制が炎症性疾患の新たな治療ターゲットになる可能性を示していると考える。これらの項目については概ね順調に進展している。 RA患者滑膜組織におけるS1P3の発現評価、RA患者滑膜細胞におけるS1P3シグナルの検討に関しては、現在進行中であるがまだ充分な知見を得るには至っていない。これは予想よりも整形外科での手術症例数が少なかったことが原因となっているが、現在徐々に累積検体総数は増加してきており、今後一定の結果を示すことができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
RA患者関節組織でのS1P3の発現の検討は、免疫組織化学において前年度同様に発現分布および発現程度を評価する予定である。 RA患者滑膜細胞におけるS1P3シグナルの検討に関してもは、手術検体から確立した滑膜培養細胞に対しS1PやTNF-αを反応させ、細胞増殖効果、細胞遊走能の検討を行う。また各種サイトカイン、ケモカインの産生をELISA法にて検討、リアルタイムRT-PCR法を用いサイトカイン、ケモカインの遺伝子発現を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
薬品類(免疫組織化学試薬,PCR関連試薬,Western blot関連試薬)、注射器、ガラス器具、チューブ類及びマウス管理費として研究費を使用予定。 また学会発表を行う予定であり、学会参加費にも使用予定である。
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Research Products
(1 results)