2012 Fiscal Year Research-status Report
脳磁場計測を用いた乳児・小児障害脳における言語機能獲得の予後評価
Project/Area Number |
23591488
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
白石 秀明 北海道大学, 大学病院, 助教 (80374411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 文也 北海道大学, 大学院保健科学院, 准教授 (30281835)
齋藤 伸治 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00281824)
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Keywords | 言語機能検査 / 脳磁図 / 急性脳症 / 小児 |
Research Abstract |
鳥インフルエンザなどの流行に危惧もあり、ウイルス感染にかかる、重症感染症の発症は、どの時期においても、大きく危惧されるところである。これらの重症感染症の中で、最も重篤であるのがウイルス脳炎であり、その多くで、生命的予後、知的予後が非常に重篤である。 本研究においては、昨年に引き続き、中枢神経感染症による後遺症としての言語機能障害に対する、客観的な評価法を確立するために、言語刺激に対する、大脳皮質活動の変化を客観的に定量化することを試みた。大脳皮質活動の定量化は、超伝導電流干渉素子を用いた、脳磁図解析を用いて行った。 対象患児が、臥位で検査を受ける為に、刺激画像を眼前に直接投影する必要があり、長焦点距離を持つプロジェクター(NP-PA550WJL)に、中焦点のズームレンズ(NP13ZL)を用いることで、鮮明な画像信号が眼前に置いたスクリーンに投影できるようになった。これらをフォレステック社に依頼し、完成納入した。加えて、患児の好むDVD画像の背景に、刺激文字を提示するために、文字情報を重ね合わせるために、出力PCの画像を、刺激コントローラー ・ V-440HD(マルチフォーマットミキサー)を使用し、任意の文字を刺激画像として合成することに成功した。 これらの機器を用いて、言語機能検査を行う為に、2名の急性脳炎罹患患児、1名の先天性言語遅滞患児に対し、検査を行った。いずれも、有意な視覚誘発反応が200ms前後の潜時で、左後頭葉に見出された。故に、有効な視覚刺激として、大脳皮質が認識していることが示された。次年度・最終年度では、大脳皮質の基礎活動において、刺激によって誘発性される周波数の同期性、あるいは脱同期性を検討することに行う予定である。また、検査対象を拡大し、可能であれば、正常発達児の誘発活動も検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年少小児対象児に対して、脳磁図検査室内で言語誘発を行う環境は整った。言語刺激装置、画像複合装置、投影のためのハードウエアは完成した。更に、言語刺激を行い得た3名の対象患児において、誘発応答が脳磁図上確認され、正確に認知されていることが確認された。しかし、これらの反応が、言語としてどのように認識され、大脳皮質活動の連関において、どのように受け渡しが行われているのかに関しては、解析が未完である。 平成25年度は、これらの機能を、高次脳機能の発現として評価しうる、事象関連同期反応、及び脱同期反応を検討するために、行列計算ソフトであるMatlabを用いて、定量的に表現する事を試みる。先行研究では、成人症例において、言語刺激により、事象関連脱同期反応が左前頭葉に見出されることが解っている。これらの知見が、傷害を受けた、対象患児において、どのように発現してくるのかを検討する。また、併せて正常言語発達児の言語機能を定量化するために、正常児の検討を行えるよう、準備する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度までに開発した検査機器を使用し、脳症罹患患児にて検討を行う。これらの検討結果を踏まえ、北海道大学病院、その関連病院において、急性脳症後遺症として言語遅滞を来した患児の登録を行う。これらの中で、保護者の承諾が得られた症例において、検査を行い、検査結果の蓄積を行う。 加えて、正常発達小児における、言語機能の獲得様式を定量化するために、正常児に対しても、同様の検討を行う。各年齢における脳磁図反応様式と、言語発達過程の整合性を検討し、各年齢における発達状態の基準を作成する。これによって、脳症以外の言語発達障害を来している患児への定量評価が可能になるのではと考えられる。 これらの検査結果を踏まえ、初期結果を日本臨床神経学会にて発表を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
刺激画像呈示装置、呈示ソフトウエアの改良を行う。加えて、事象関連過同期、脱同期反応を検討するために、行列計算ソフトを用いて検討を行う。これらの改良・導入に研究費を使用する予定である。 年少小児が検査中に体感的な違和感がないような、具体的にはヘルメット装置により頭の違和感を軽減する為に、ヘルメットの内部に、圧力を吸収するような素材の被覆材を装置する。既製品ではない為、オーダーメードにて対応する。このための予算使用を計画している。 これらの結果に関し、日本臨床神経生理学会にて発表を予定している。
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[Journal Article] Publication criteria for evoked magnetic fields of the human brain: A proposal.2012
Author(s)
Ozaki I, Shiraishi H, Kamada K, Kameyama S, Tsuyuguchi N, Yumoto M, Watanabe Y, Hirata M, Ishii R, Iguchi Y, Kimura T, Takino R, Hashimoto I
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Journal Title
Clinical neurophysiology
Volume: 123
Pages: 2116-2121
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] PCDH19 mutation in Japanese females with epilepsy.2012
Author(s)
Higurashi N, Shi X, Yasumoto S, Oguni H, Sakauchi M, Itomi K, Miyamoto A, Shiraishi H, Kato T, Makita Y, Hirose S.
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Journal Title
Epilepsy research.
Volume: 99
Pages: 28-37
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] A DYNC1H1 mutation causes a dominant spinal muscular atrophy with lower extremity.2012
Author(s)
Tsurusaki Y, Saitoh S, Tomizawa K, Sudo A, Asahina N, Shiraishi H, Ito J, Tanaka H, Doi H, Saitsu H, Miyake N, Matsumoto N.
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Journal Title
Neurogenetics.
Volume: 13
Pages: 327-332
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Childhood-onset anti-MuSK antibody positive myasthenia gravis demonstrates a distinct clinical course.2012
Author(s)
Takahashi Y, Sugiyama M, Ueda Y, Itoh T, Yagyu K, Shiraishi H, Ukeba-Terashita Y, Nakanishi M, Nagashima T, Imai T, Motomura M, Saitoh S.
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Journal Title
Brain & development
Volume: 34
Pages: 784-786
DOI
Peer Reviewed
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