2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23591497
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
前垣 義弘 鳥取大学, 医学部, 准教授 (80252849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 千佐子 鳥取大学, 医学部, 准教授 (60116366)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 急性脳症 / デジタル脳波 / 脳波コヒーレンス / 脳波パワースペクトル / けいれん重積 |
Research Abstract |
脳波解析を用いた急性脳症の早期診断を目的に、平成23年度は過去の急性脳症症例のリストアップとデジタル記録された脳波の収集、および脳波解析方法の検討を行った。さらに、平成23年度の新規症例のデータ収集を並行して行った。1、症例のリストアップと脳波収集:けいれん重積研究チーム(当院を含めた24施設)において実施した「けいれん重積調査」を基に過去の急性脳症症例と熱性痙攣・てんかん症例(予後良好例)のリストアップを行った。さらにそれらの症例でデジタル記録された脳波を収集するために、各施設に保存脳波の確認を依頼し、一部の施設から脳波データを収集した。2、脳波解析:デジタル記録された脳波を、連続する10秒の部位を1エポックとし、1人当たり5-10エポックのデータを使用するために切り出し保存した。脳波はフーリエ変換し、各脳部位の脳波パワースペクトルを計測した。基礎律動のパワースペクトルのピーク周波数を求め、このピーク周波数について、各脳部位間のコヒーレンス値を求めた。3、解析結果:徐波(1-6Hz)の前頭部―後頭部コヒーレンスはけいれん重積型急性脳症(予後不良例)で低く、予後良好な急性脳症と熱性けいれんでは有意に高い結果が得られた。4、研究結果の意義と重要性:視覚的な脳波判断においては、けいれん重積後の徐波から予後不良の急性脳症と予後良好な急性脳症・てんかん・熱性けいれん重積を判別するには限界があった。デジタル脳波解析において、従来よりも感度・特異度の高い診断ができる可能性が示唆された。急性脳症の早期診断は、早期治療による神経予後の改善につながるため、きわめて重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
症例のリストアップと脳波の集積は予定通り達成できている。脳波解析の基本的な方法は確立している。種々の周波数ごとの解析と脳部位を変えて解析を行うことは、平成23年度には実施できていないので、24年度に行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き症例の脳波を集積すると同時に、種々の周波数および脳部位による脳波解析を行い、最も信頼性の高い解析方法を確立する。解析結果から得られた方法を基に、新規症例の診断を行いながら、解析方法の妥当性を検証してゆく。この前方視的診断が、予想に反して診断率が低い場合には、新規症例を含めて解析方法の見直しを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
成果発表のための学会出張旅費および、データ保存のためにDVD購入費、脳波記録のための電極、論文の校正費用などを計画している。
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Research Products
(6 results)