2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23591497
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
前垣 義弘 鳥取大学, 医学部, 准教授 (80252849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 千佐子 鳥取大学, 医学部, 准教授 (60116366)
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Keywords | 急性脳症 / デジタル脳波 / 脳波パワースペクトル / 脳波コヒーレンス / けいれん重積 / 早期診断 |
Research Abstract |
脳波解析を用いた急性脳症の早期診断を目的に、既に収集された症例と平成24年度の新規症例のデジタル脳波の解析を行った。さらに、解析方法の精度を上げるための検討を行った。 1、脳波解析:デジタル記録された脳波を、連続する5秒の部位を1エポックとし、切り出し保存した。脳波はフーリエ変換し、各脳部位の脳波パワースペクトルを計測した。各脳部位のパワースペクトルは周波数ごとに大きな変動があるため、0.5Hzから60Hzまでの全てのパワースペクトルの平均値を算出して評価した。次に、脳部位間の脳波コヒーレンスを算出したが、これも変動が大きいため平均値で評価した。 2、解析結果:予後(神経学的後遺症)により対象症例を3群に分けて統計解析を行った:重度群(全て急性脳症)、軽度―中等度群(全て急性脳症)、正常群(後遺症なく改善した急性脳症と熱性けいれん・てんかん)。①前頭部の脳波パワースペクトル平均値は、重度群の急性脳症後遺症で著しい定値を示し、軽度―中等度群・正常群と識別可能であった。パワースペクトルによる判別の感度は100%、特異度も100%であった。一方、軽度―中等度群と正常群をパワースペクトル値で識別することは出来なかった。②前頭部―後頭部コヒーレンスは軽度―中等度群で低く、正常群では有意に高いという結果が得られた。コヒーレンス値で、軽度―中等度群と正常群の識別感度は87.8%、特異度93.3%であった。 3、研究結果の意義と重要性:視覚的な脳波判断においては、けいれん重積後の脳波から予後不良の急性脳症と予後良好な急性脳症・てんかん・熱性けいれん重積を判別するには限界があった。デジタル脳波解析において、従来よりも感度・特異度の高い診断ができる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
症例のリストアップと脳波の集積は予定通り達成できている。脳波解析の基本的な方法は確立している。平成24年度は前頭部と後頭部で記録した脳波を解析した。他の脳部位を解析することで、さらに感度と特異度を上げることができる期待があるので、平成25年度にはこの点を重点的に行う。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きけいれん重積症例の脳波を集積すると同時に、全ての脳部位による脳波解析を行い、最も信頼性の高い解析方法を確立する。解析結果から得られた方法を基に、新規症例の診断を前方視的に行いながら、解析方法の妥当性を検証してゆく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた研究計画よりも順調に計画が進んだために物品購入費が少なく済んだため次年度使用額(130,146円)が発生した。平成25年度は解析方法の簡素化のために解析ソフトの購入を計画している。研究成果を学会に報告し、研究協力機関の研究者と研究成果について打ち合わせをする。本年度は最終年度に当たるため、論文作成のための英文校正を業者に委託する。
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