2011 Fiscal Year Research-status Report
胎児期過栄養による胎児プログラミングの機序解明-日内リズム異常との関連性の検討
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23591526
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Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Maternal and Child Health |
Principal Investigator |
川井 正信 (カワイマサノブ 正信) 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所), 環境影響部門, 研究員 (50598117)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 胎児プログラミング / 概日リズム |
Research Abstract |
胎児期過栄養は小児・成人期の肥満・生活習慣病の発症に密接に関与している(胎児プログラミング)。また、概日リズムは糖・脂質代謝を含む種々の代謝を制御しているが、胎児期過栄養による胎児プログラミングにおいてどのような役割を果たしているかは不明である。そこで、胎児プログラミングの機序を概日リズムの観点から解明することを目的とし、研究を行った。 平成23年度は、胎仔期過栄養モデルの確立ならびにその表現型の解析を行った。マウス胎仔期過栄養モデルは、メスマウスを離乳後(日齢21日)から通常食(STD:脂肪含有量10%kcal)あるいは高脂肪食(HFD:脂肪含有量60%kcal)下で飼育し、生後8週より通常食下で飼育されたオスマウスと交配させ作成した。妊娠中および離乳期は普通食ないし高脂肪食でそのまま飼育した。離乳時(日齢21日)の体重を2群間で検討比較したところ、オス、メスともにHFD群の体重がSTD群に比べ有意に増加していた。その後の体重変化は、HFD群とSTD群で差を認めず、8週時点では2群間に有意差を認めなくなった。次に6カ月時点で、脂肪量を検討したところ、皮下脂肪量には両群間で差を認めなかったが、オス、メスともにHFD群ではSTD群に比べて内臓脂肪量が増加していた。糖負荷試験を行い耐糖能を検討したところ、HFD群では耐糖能が低下していた。以上から、胎仔期および授乳期に母体が高栄養に暴露された仔では、脂肪量の増加など体組成の変化をきたし、耐糖能が低下することが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題申請書には、平成23年度の研究計画として以下の2点を挙げている。その一つ目は"胎仔期過栄養モデルの確立ならびにその表現型の解析"であり、上記研究実績の概要で述べたように、胎仔期過栄養モデルの確立は達成できたと考えている。確立したモデルの解析であるが、糖代謝関連の解析は順調に進んでいるが、組織学的評価は現在試行している最中であり、その点が予定より少し遅れている点であると考えられる。しかし、研究計画全体から見ると平成23年度は概ね予定通り研究が進捗がしたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に予定している研究計画は、平成23年度に確立したマウスモデル系を用いて、概日リズムを検討することが主眼となる。胎仔期過栄養マウスと対照群のマウスから肝臓・脂肪組織などを6時間毎に採取し、概日リズムや脂質・糖代謝に関与する遺伝子発現を定量RT-PCRを用いて検討する。日内リズムに関与する遺伝子(Nocturnin, Clock、Bmal1、Cryptocrome(Cry)、Period(Per)など)、代謝に関与する遺伝子(PPARgamma、PPARalpha、PGC1alpha、Srebp1cなど)などがその候補遺伝子である。妊娠後期(18.5dpc:肝臓、骨組織のみ。白色脂肪組織はこの時期は未発達)、離乳直後(生後4週)と生後24週に検討を行い、日内リズムが経時的にどのように変化するかも併せて検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度からの繰り越し金は主として分子生物学的実験用の物品費にあてる。物品費に800,000円、旅費に300,000円、論文投稿などに係る費用等に100,000円を予定しいる。
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Research Products
(7 results)