2012 Fiscal Year Research-status Report
臍帯由来間葉系細胞の遺伝子発現とエピジェネティクスのアレルギー疾患発症との関連
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23591529
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 洋一 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 教授 (80216457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下条 直樹 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40221303)
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Keywords | アレルギー / ビオチン / 臍帯細胞 / マトリックスメタロプロテアーゼ / トロンボキサンA2受容体 / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
本研究の主要な当初目標は、出生コホートを形成し、出生時に臍帯を採取、そこから線維芽細胞を培養しその性質を調べ、コホート対象者の1歳時の感作、アトピー性皮膚炎、喘鳴等のアウトカムとの関連を調べ、新生児期の臍帯由来細胞の表現型にアウトカムの予測につながるものがあるかどうかを明らかにすることであった。 ホート参加者のリクルートについては、平成24年末までに、306例のエントリーをおこなった。1ヶ月の乳児検診では282名、6ヶ月に達した者277名、1歳までフォローアップされ解析対象となり得た参加者は235例となった。参加者のうち臍帯からの細胞を保存できたものは、203例である。 臍帯由来細胞の実験については、計画にはなかったが、より生理的な反応を見たいと考え、細胞へRSウイルス、ライノウイルス、パラインフルエンザを感染させた場合の解析をおこなうことにした。まず、ウイルス感染後24時間、48時間後の、33種類のサイトカインの培地中濃度を測定したが、不活化ウイルス、2種のウイルス量の感染に対する結果から、ウイルス特異的に分泌量が変化したと判断できる結果とならず、実験条件の検討を行っている状況である。臍帯由来細胞を培養して解析する候補として、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)遺伝子群と、トロンボキサンA2受容体の遺伝子(TBXA2R)について着目し、遺伝子多型を含めた解析を行った。その結果、MMP8、MMP9、MMP12、MMP13、TBXA2Rの多型について、疾患や臨床的表現型との関連、細胞における発現量への影響を確認することができた。MMP3については、気道平滑筋、気道線維芽細胞で、IL-1βによって発現が増加することから、この発現のメカニズムについて検討を行うことができた。これらの遺伝子については、臍帯由来細胞での解析対象とすることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)参加者の登録は平成23年度の予定どおり、すなわち235例の1歳時の評価が可能となった。アトピー性皮膚炎(AD)と診断された児は31名(13.2%)であった。これは予定通りである。 (2)臍帯由来細胞の解析:細胞へのウイルス刺激による、各種サイトカイン、ケモカインの測定、ゲノムワイド相関解析から見いだされてきた遺伝子群、MMP遺伝子群の発現の解析を行う予定であったが、培養細胞系が安定せず、解釈可能な結果が得られていない。一方、MMP遺伝子群とTBXA2Rについて、臨床データとの関連、遺伝子多型の解析の結果を出すことができた。 (3)ほこり調査:予定通り、フォローアップ中の参加者全員の寝具のほこり、シャーレ法による室内のほこりの回収ができた。 (4)アウトカムと遺伝子発現との関連の解析については、臍帯由来細胞の系が安定せず、十分な検討が進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 臍帯由来細胞の感染実験系の結果が安定するための条件を確立することが最優先である。 (2) 一歳時におけるアウトカムに影響を与える、フィラグリン、MMP遺伝子ファミリー、ゲノムワイドで喘息、アトピー性皮膚炎と関連が示されてきた候補遺伝子の多型があるかどうか検討する。 (3) ほこりサンプルの細菌内毒素、ダニ、犬、猫、卵白等のアレルゲンの定量を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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