2012 Fiscal Year Research-status Report
腎発生及びCAKUTでの活性酸素と細胞接着のシグナルクロストークとそ役割解明
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23591571
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
近藤 秀治 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (00380080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香美 祥二 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (00224337)
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Keywords | CAKUT / 活性酸素 / NADPHオキシダーゼ / 尿管芽分岐 / ネフロン形成 |
Research Abstract |
本研究の目的は、先天性腎尿路奇形 (CAKUT)の病態に密接に関わる尿管芽分岐やネフロン形成という腎発生の基本的現象と増殖、遊走などの細胞機能が接着関連分子やNADPHオキシダーゼ由来活性酸素(ROS)により直接的、又は接着関連分子-ROSシグナル伝達のクロストークにより間接的に制御されているかを検討することである。平成24年度は平成23年度から継続しているNADPHオキシダーゼ-ROSシグナル解析についてNADPHオキシダーゼ阻害による接着分子の共通シグナル経路についての研究の整理を行った。この段階で、ROSによる直接的な影響が、腎発生に重要であることが判明した。また、FAKとパキシリンのリン酸化シグナルも重要であり、特にFAKに関しては、Y397のリン酸化に始まり多くのチロシン残基がリン酸化をうけシグナル伝達に関わり、間接的な影響がある可能性が推測された。次に、接着関連分子やNADPHオキシダーゼ由来ROSのシグナルがいかに関わっているかを調べるために、腎臓内の多種類の細胞から、メサンギウム細胞に着目し、ROS誘導接着分子Hic-5に焦点をあて関連性を検討した。我々は、Hic-5欠損マウスを入手し、この腎臓よりメサンギウム細胞を樹立した。現在Hic-5欠損によるメサンギウム細胞のネフロンの形成に関する接着分子の役割を検討している。現段階で、Hic-5を制御することにより、他の細胞接着分子FAKやパキシリンのリン酸化が活性化していることを確認しており、Hic-5を糸口にFAK、パキシリンなどの接着分子とROSの関連性を培養実験で確認していく方向である。最終的に、メサンギウム細胞を中心としたネフロン形成だけでなく、尿細管上皮細胞の形成過程への間葉系細胞の関与にも研究を進めていき、尿管芽分岐やネフロン形成の異常から生じるCAKUTの発症と進展を制御しうる治療法開発へすすめる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究がおおむね順調に経過している理由として、二点あげられる。 一点は、平成24年度で、平成23年度から継続しているNADPHオキシダーゼ-ROSシグナル解析について、NADPHオキシダーゼ阻害によるシグナル経路に関して整理が完了した点である。ROSによる直接的な影響、特にMAPキナーゼを介するシグナル伝達が、腎発生に重要であることが判明した。また、FAKとパキシリンのリン酸化シグナルもMAPキナーゼを中心としたシグナル伝達が重要であり、接着分子のシグナルは直接的および間接的、どちらも影響する可能性が推測された。これらのことを現在論文として整理する方向で進めている。 二点目として、接着関連分子やNADPHオキシダーゼ由来ROSのシグナルがいかに相互に関わっているかを調べるために、培養実験に着手したことがあげられる。腎臓内の多種類の細胞から、メサンギウム細胞に着目し、ROS誘導接着分枝Hic-5に焦点をあて関連性を検討している。我々は、Hic-5欠損マウスを入手し、この腎臓よりメサンギウム細胞を樹立した。現在Hic-5欠損によるメサンギウム細胞のネフロンの形成に関する接着分子の役割を検討しているが、Hic-5を制御することにより、他の細胞接着分子FAKやパキシリンのリン酸化が活性化していることをすでに確認しており、ROSにより誘導される分子が細胞接着シグナルに影響していることを明らかにした点が重要であると考えている。以上から、接着分子とROSシグナルには関連性があることが推測され、さらに研究を発展させることが可能となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策であるが、平成23年度、24年度に進めてきた研究結果を成果報告として論文にすることである。次に研究の推進に関してであるが、接着関連分子やNADPHオキシダーゼ由来ROSのシグナルの関連性を追求するために、メサンギウム細胞のROS誘導Hic-5発現に焦点をあて検討しており、具体的には、Hic-5欠損マウスを入手し、この腎臓よりメサンギウム細胞を樹立している。現在Hic-5欠損メサンギウム細胞のネフロンの形成に関する接着分子の役割を検討しているが、現段階で、Hic-5を制御することにより、他の細胞接着分子FAKやパキシリンのリン酸化が活性化していることを確認しており、Hic-5を糸口にFAK、パキシリンなどの接着分子とROSの関連性を培養実験で確認していく方向である。最終的に、メサンギウム細胞を中心としたネフロン形成や、尿細管上皮細胞の形成過程へ間葉系細胞の関与にも研究を進めていき、尿管芽分岐やネフロン形成の異常から生じるCAKUTの発症と進展を制御しうる治療法開発へすすめたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、主に消耗品と成果発表にあてられる。 消耗品の使用に関しては、上記に示したように、本科学研究費で明らかとなった事実を科学研究論文としてまとめる段階にきており、完成させる上で、必要な追加試験が必要となると考えられる。この追加試験に要する、研究試薬、各種抗体などの物品費に経費を要する。次に、その成果発表や論文投稿のために必要な経費に使用することを計画している。
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Research Products
(18 results)