2013 Fiscal Year Annual Research Report
非線形光学顕微鏡による水・脂質の直接観察に基づいた肺胞環境の維持・破綻機構の解明
Project/Area Number |
23591600
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
池田 一成 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00193194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 陽平 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60327583)
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Keywords | サーファクタント / 肺胞II型上皮細胞 / 脂質分泌 / 非線形光学顕微鏡 / CARS顕微鏡 |
Research Abstract |
新生児期の肺胞環境の恒常性維持には肺水の除去、間質を含めた水の輸送、サーファクタント分泌など、水の輸送や脂質分泌が不可欠 となっている。非線形光学顕微鏡の1つであるCoherent Anti-Stokes Raman Scattering (CARS)顕微鏡により肺胞上皮細胞でのサーフ ァクタントの分布変化および開口放出などの動態をリアルタイムで観察することが可能となる。 本研究では成人マウスの肺胞上皮II型細胞を採取し、初代培養を行い、専用培養器のマトリゲル上に撒いて、CARS顕微鏡のC-Hモードで観察を行い、その結果、肺胞上皮II型細胞の細胞質に顆粒状の強いCARSシグナルを多数認めた。肺胞上皮II型細胞が肺サーファクタ ントを産生・分泌していることは免疫染色、電子顕微鏡、培養液中のサーファクタント測定などの技術により広く知られている。しかし、実際、肺胞上皮II型細胞内でサーファクタントがどのように産生され、蓄積し、分泌されるかをリアルタイムで観察されたことはなく、本研究にて初めてその観察を行った。 本年度はテルブタリンなどの複数の薬剤刺激により肺サーファクタントの開口分泌を観察した。 さらに、サーファクタント分泌を安定させる細胞条件、温度などについても検討を行った。 今後、さらなる検討を行い、サーファクタントの産生・蓄積・分泌に関する制御因子の詳細なメカニズムの探索は肺胞の機能維持の理解を深め、新生児の慢性肺疾患の予防・治療にも大変重要な意味を持つと考える。
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