2011 Fiscal Year Research-status Report
母体血中有核赤血球の効率的回収法とその無侵襲胎児診断への応用に関する研究
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23591602
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
松岡 隆 昭和大学, 医学部, 講師 (20349111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関沢 明彦 昭和大学, 医学部, 准教授 (10245839)
四元 淳子 昭和大学, 医学部, 特別研究生 (30553648)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 遺伝カウンセリング / 非侵襲的出生前遺伝子診断 / 有核赤血球 |
Research Abstract |
母体血中より有核赤血球を回収する工程は、(1)比重遠沈法、(2)有核赤血球の濃縮、(3)塗抹標本作成と自動分析装置での有核赤血球同定、(4)遺伝子解析からなる。(1)については、高比重液を用いることで有核赤血球の回収数が約2倍に増加することを確認した。また、比重液は等浸透圧の必要があることが確認された。(2)の有核赤血球の濃縮については、レクチン法による赤血球除去効率が不良で、以前の有核赤血球回収率が確保できないため、CD45を用いた磁気ビーズ法、直接塗抹法を含めた検討を行った。その検討において、有核赤血球の回収率に有意な差がないことが分かった。また、自動有核赤血球識別装置は順調に稼働しており、予定通りのパフォーマンスを実現していることを確認した。(4)の遺伝子解析は、FISH法で胎児の性別および21番と18番染色体の数的異常のみを検討しているが、有核赤血球の識別に問題があるのか、10倍以上に回収細胞数は増加したが、胎児由来細胞の割合はその40%から5%へと大きく低下している。現在その原因を検討中である。しかし、全体的にはシステムの最適化が終了しつつあり、安定性は高まってきている。次年度に向け、システムの構成を確定した上で、妊娠週数毎の有核赤血球数、胎児由来細胞率などの基礎的なデータの作成を行う予定である。さらに、非侵襲的出生前遺伝子診断法が、臨床応用される場合に、倫理的な問題点が指摘される可能性がある。その問題点として臨床遺伝の専門家がどのようなことを考えているかを解明する目的で、アンケート調査を行った。その結果、妊婦は非侵襲的な検査の臨床応用を歓迎する一方、医療者からは懸念が示された。妊婦は検査の安全性を重要視したのに対し、医療者は、検査の信頼性や遺伝カウンセリングが徹底されることを検査施行の条件として考えていた。また、この検査についての知識に乏しいものほど、検査を受け入れやすい傾向も確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
母体血中に存在する有核赤血球数がごく僅かであり、それを安定的に母体血中から回収することに、課題を残している。そのため、95%以上の精度での胎児診断を目標としているが、その目処が立たず、精度検定のための臨床研究がスタートできていない現状である。しかし、最近、比重液での1次操作を高比重液を用いるようにしていこう、検査の安定性は高まってきている。さらに、改修した有核赤血球でのFISH解析にも問題はあったが、一応の解決ができつつある状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の問題がおおむね解決してきていることから、24年度の早い時期から、現状の最も最適化された方法で、精度検定を行う多施設共同研究の実行に結び付けていきたい。そのことで、細胞回収ー診断系の手技的な問題点の再確認が可能であると考える。50-100例の羊水検査症例を対象にした結論を出す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実際の臨床トライアルの消耗品支出が大部分になると思われる。また、研究成果は国際出生前診断会議で発表する。その旅費にも使用する。
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Research Products
(2 results)