2011 Fiscal Year Research-status Report
脂肪組織由来間葉系幹細胞を用いた培養皮膚の作製法の開発
Project/Area Number |
23591647
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
亀田 健治 愛媛大学, 総合科学研究支援センター, 講師 (60363264)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白方 裕司 愛媛大学, 医学部附属病院, 准教授 (50226320)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
Keywords | 三次元培養 / 脂肪組織 / 表皮角化細胞 / 再生医療 |
Research Abstract |
皮膚再生医療を推進する目的のために三次元培養皮膚の作製法を検討した。今回、比較的大量に採取するのが容易な脂肪組織を使い、分化誘導にて線維芽細胞と角化細胞を作製し、これら分化誘導細胞にて三次元培養皮膚の作製を試みた。脂肪組織は皮膚に切開を入れることなく脂肪吸引法にて得ることができる組織であり、かつ採取量はかなり多くの組織を得ることができる。これは患者負担という点からすると大きなメリットであり、血液採取と同じような感覚で受け入れられる。まずは脂肪組織由来間葉系幹細胞が幹細胞としての増殖能力を有しているかについて明らかにした。詳細な条件は、今、検討中である。また、最適の増殖培養環境について培養液や添加因子、さらには培養条件を検討し、その培養法の確立を試みた。具体的には継代操作による細胞増殖能の検討、培養上清中に分泌されるサイトカイン、細胞成長因子の測定、サイトカイン、細胞成長因子刺激時の遺伝子発現などを示標にする。また、コラーゲンゲル中での増殖、形態について線維芽細胞と比較した。すなわち、脂肪由来間葉系幹細胞と線維芽細胞をそれぞれ培養し、経時的に培養上清を回収する。培養上清中のサイトカイン・細胞成長因子についてELISA法を用いて解析する。さらに線維芽細胞に対して増殖促進、抑制する因子を数種類選び(bFGF, TGF-beta, PDGFなど)、培養液に添加し、刺激後のサイトカイン・細胞成長因子についてもELISA法を用いて解析する。現在、サイトカイン・細胞成長因子刺激後経時的にRNAを回収し、主にサイトカイン・細胞成長因子の遺伝子発現についてmicro array解析、real-time PCR法にて比較検討している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脂肪組織からの間葉系幹細胞の分離培養について検討した。手術時に得られた脂肪組織を0.1%コラゲナーゼ/ダルベッコ変法MEM培地処理し10%FCS添加DMEMにて増殖させた。継代数を同じにした線維芽細胞と脂肪由来間葉系幹細胞を6ウェルプレートに同じ細胞数で播種し、培養4-7日後に細胞数を測定する。細胞数の測定結果をもって増殖能が高いか低いかを確認した。また、同じ継代数の細胞をシャーレに播種し、コンフルエントになった時点で継代を繰り返し、何回継代可能かについて検討することで長期的な細胞増殖能を推定する。 次に、脂肪由来間葉系幹細胞の性質の検討を行った。脂肪由来間葉系幹細胞と線維芽細胞をそれぞれ培養し、経時的に培養上清を回収する。培養上清中のサイトカイン・細胞成長因子についてELISA法を用いて解析する。さらに線維芽細胞に対して増殖促進、抑制する因子を数種類選び(bFGF, TGF-beta, PDGFなど)、培養液に添加し、刺激後のサイトカイン・細胞成長因子についてもELISA法を用いて解析した。現在、RNAを回収し、主にサイトカイン・細胞成長因子の遺伝子発現についてmicro array解析、real-time PCR法などを用いて、詳細な遺伝子解析を行っている。また、脂肪由来間葉系幹細胞の他分化能についての検討も行っている。すなわち、脂肪由来間葉系幹細胞と線維芽細胞をそれぞれ培養し、分化誘導培地に変更しその形態的変化を解析しており、おおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
脂肪組織からの間葉系幹細胞の分離培養の検討、脂肪由来間葉系幹細胞の増殖能の検討、脂肪由来間葉系幹細胞の性質の検討、および脂肪由来間葉系幹細胞の他分化能についての検討をさらに詳細におこなう必要がある。ある一定の条件が確立すれば、脂肪由来間葉系幹細胞の角化細胞への分化誘導条件を詳細に検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に細胞培養関連のプラスチック消耗品、培養液、その他細胞増殖促進や抑制因子の購入。また、詳細な分離培養条件の情報収集のための出張に研究費を使用する。
|