2012 Fiscal Year Research-status Report
モデル動物など多角的研究方法によるアルツハイマー病関連遺伝子の同定とその機構解明
Project/Area Number |
23591706
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森原 剛史 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90403196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 稔久 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10294068)
武田 雅俊 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00179649)
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Keywords | アルツハイマー病 / ゲノム / 細胞内輸送 / Aβ / カナダ / 米国 |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)のリスク遺伝子など関連遺伝子の道程は重要であるが、そのためには超大規模GWASなど極めて多大な研究リソースが必要になる。大規模GWASにおいてもごく少数のリスク遺伝子しか同定されないことが近年明らかになってきた。これらの問題をいくらかでも解消するため、我々はヒト個人差の代わりにマウスストレイン差を、GWASまたはQTL解析の代わりにトランスクリプトミクスを用いることでAD修飾遺伝子どうていを試みた。まずマウス系統のうちDBA系統がB6やSJL系統に比べADの中心病理である脳内Aβ蓄積量が3分の一から4分の一であることを見出した。次にストレイン間での遺伝子発現プロファイルを比較しDBAで発現が有意に異なる遺伝子群を抽出した。次に背景遺伝子を混合させたADモデル動物で脳内Aβ蓄積量を相関する遺伝子群を抽出しKlc1を得た。QPCRでKlc1 splice variant EがAβ蓄積量と相関しており、Klc1領域のゲノム解析でもAβ蓄積修飾遺伝子であることが支持された。次にmouse-to-human translationが検討され、ヒトAD剖検脳の発現解析が行われた。KLC1 splice variant EはADで対照群よりも高値であった。抹消リンパ球での発現プロファイルが脳の類似しているという報告があるため、リンパ球の発現解析も行うとAD(n=47)で対照(n=17)よりもKLC1 variant Eは高値であった(+25%、p=0.0014)。KLC1の機能解析にも着手しておりマウスneuroblastomaにKlc1 variant Eを発現させるとAβ産生量が増加していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
common complex diseaseのリスク遺伝子の探索方法として、これまでにない戦略(ヒト個人差と発症の代わりにマウスストレインの差異とモデルマウスにおけるAβ蓄積量、GWASやQTL解析などゲノム解析の代わりにトランスクリプトミクス)を用いている。そのためうまくいくかどうかのリスクは高く、事前に研究戦術および予備実験を入念に行った。これまでのところマウストランスクリプトーム、マウス遺伝子解析、ヒトトランスクリプト解析がいずれもKlc1の結果を支持している。さらに培養細胞を用いた機能解析も現在のところ結果を支持し、新たな示唆を加えている。
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Strategy for Future Research Activity |
①Klc1はマウスを一年加齢させた状態でのAβ蓄積量を説明する遺伝子である。その機能に関してはさまざまな可能性がありうる。現在の機能解析についてはKlc1 variant EがAβの産生段階で影響を与えているというものであるが、他の可能性を否定するものではない。現在の結果の確認の実験も行いながら、他のバリアントはどうか、Aβ産生以外の表現型はどうかということも確認していく。神経細胞死、突起進展の評価を行う。予備的結果が得られたら、安定発現細胞の構築も目指し結果の信頼性を問う。 ②mouse-human translationについてはトランスクリプトレベルでは高い支持が得られる結果が得られたが、より確信度を高めるためにはヒトゲノムレベルで支持される結果がえられるかどうか研究する必要があると考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記①について。マウスおよびヒトneuroblastomaにKlc1のvariant Eだけでなく他のvariatntも発現させ、Aβ賛成だけでなく神経細胞死や突起の進展への影響も評価していく。 ②についてはcommon SNPだけでなくrare variantも対象二階席を進める必要があると考える。そんため非常に費用も労力も必要な研究になってしまうので、まずは対象を絞って研究を着手する。ヒトゲノムについてはKLC1のvariant Eに関係するexon周辺に絞った解析を行う。優先順位の高い検体はすでにKLC1 variant Eの発現が高値であることがわかっているAD脳である。順次その他のゲノム検体も検討の対象としていく。
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Research Products
(8 results)