2011 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌患者の術後せん妄の発症予測に関する生物学的指標の探索
Project/Area Number |
23591714
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
光安 博志 九州大学, 大学病院, 助教 (00533176)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川嵜 弘詔 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50224762)
光安 岳志 九州大学, 大学病院, 助教 (00380519)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | リエゾン精神医学 / せん妄 / 癌 / 手術 |
Research Abstract |
(1)九州大学病院(以下当院とする)の倫理委員会に本研究の申請を行い、審査の上、承認を得た。(2)当院顎口腔外科の入院患者のうち、口腔癌と診断され手術治療を受ける患者で、研究に理解して同意を得られた患者を対象とした。患者への説明と同意取得は、研究分担者である顎口腔外科の光安岳志の協力のもとに、研究代表者である光安博志が中心となり、口頭と文書を用いて実施した。今年度の研究参加者は8名。男性5名、女性3名。平均年齢64.8歳(50歳~76歳)。(3)研究参加者について、臨床情報、血液生化学検査、認知機能検査(HDS-R)を収集した。HDS-Rの平均点数は、28.3点(30点満点)であり、認知機能低下の参加者はいないと考えられた。(4)口腔外科病棟の看護師により日本語版ニーチャム混乱・錯乱状態スケールを手術前日、手術後1日目から7日目まで毎日評価して記録した。8名中、19点以下でせん妄の発症が疑われた症例は、3例であったが、精神科受診には至らなかった。(5)生物学的指標の候補の検査: 採血を対象者一人につき、手術前日および手術後3日目の計2回施行。外部検査機関に委託して末梢血液中のTNF-α、IL-1β、IL-6、および、S100B蛋白の量を測定した。今年度は、参加者8名中4名分の測定結果を得た。TNF-αは、2名で術前よりも術後のほうが減少した。IL-1βは、術前より術後が明らかに上昇したものが2名みられ、残り2名はほとんど変化がなかった。IL-6は全員で術前より術後に著明な上昇がみられた。S100B蛋白は術前、術後で変化は殆どみられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の当施設での倫理委員会での承認を得るまでに時間を要したために、研究着手の時期が遅れた。そのために、研究参加者の目標数30名が達成できていない。しかし、承認後は、研究開始できており、研究参加者の収集、臨床データの収集は順調に実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者(精神科神経科)と研究分担者および顎口腔外科病棟看護部との共同・連携システムが順調に動いているため、次年度以降も引き続き研究参加者の人数を増やして、データを蓄積していくことを最優先の目標とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費としては、パーソナルコンピュータ・モニター、採血管、プリンタインク、他消耗品などの購入で、200,000円の使用を計画している。旅費としては、おもに学会参加などで、300,000円を使用予定である。人件費・謝金は使用の計画はない。その他の使用としては、生物学的指標の候補の測定の検査委託のために、1,230,000円(40名分)の使用を予定している。
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