2011 Fiscal Year Research-status Report
進行期卵巣癌における核医学トレーサーとバイオマーカーによる化学療法感受性の予測
Project/Area Number |
23591806
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
倉田 精二 久留米大学, 医学部, 講師 (80268888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲斐田 勇人 久留米大学, 医学部, 助教 (40299425)
石橋 正敏 久留米大学, 医学部, 教授 (20168256)
早渕 尚文 久留米大学, 医学部, 教授 (20108731)
牛嶋 公生 久留米大学, 医学部, 准教授 (20185002)
嘉村 敏治 久留米大学, 医学部, 教授 (30152870)
鹿毛 政義 久留米大学, 大学病院, 教授 (80148840)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 腫瘍核医学 / 卵巣癌 |
Research Abstract |
研究の意義;婦人科癌の中でも本邦の卵巣癌の罹患数は毎年約8000人で、2005年には4467人が卵巣癌(悪性卵巣腫瘍)で死亡し、さらに近年では死亡数が増加傾向にある。卵巣は腹腔内臓器であるために腫瘍が発生しても自覚症状に乏しく、また適切な検診法がないことから,卵巣癌の約半数の症例がIII、IV期の進行癌で発見される。治療法に関しては、卵巣癌が発見された時点で進行している場合が多いため、手術後に化学療法が必要となる場合が多い。また、卵巣癌は婦人悪性腫瘍の中でも標準的化学量療法が確立されている。しかし、卵巣癌における薬剤耐性に関しては、まだ十分検討されておらず、治療前に薬剤耐性の有無を知ることは治療戦略を考慮する上で非常に重要と思われる。 研究の目的;進行期卵巣癌を対象として核医学トレーサーである99mTc-sestamibiの悪性腫瘍への集積状況を観察し、化学療法の臨床効果および予後(無再発期間、全生存期間)との相関を検討する。また、薬剤耐性関連タンパクのバイオマーカーとして位置づけられているYB-1、MDRタンパクなどの発現を摘出病理標本を用いて免疫組織学的に判定して、核医学トレーサーの進行期卵巣癌への有用性を検討する。 研究の進行状況;2例の進行期卵巣癌患者に対して、99mTc-sestamibi検査を施行した。撮像方法は、99mTc-sestamibiを経静脈注射で投与した後の10分後(早期相)、2時間後(後期相)に腹部のplanar像と単光子放射断層撮影法(SPECT像)を撮影を行った。収集された画像の視覚的評価では、単光子放射断層撮影法(SPECT像)において卵巣癌に対してトレーサーの軽度の集積を認めることができた。ただし、後期相で認められた腸管内に排泄されたトレーサーは予想以上にartifactを伴うことが分かり、今後画像評価を検討する上での課題と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに2例の進行期卵巣癌の症例に対して、核医学トレーサーである99mTc-sestamibi検査を行うことができた。撮像方法は、研究計画の通りで、放射性薬剤投与後の10分後、2時間後に、腹部のplanar像および腹部の単光子放射断層撮影法(SPECT像)を撮像することが可能であった。とくに単光子放射断層撮影法(SPECT像)では腫瘍にわずかであるが、トレーサーの集積の確認が可能であった。これまでの文献的検索では、99mTc-sestamibiと卵巣癌との関係を示した論文は1件のみ(Technetium-99m-sestammibi scintigraphy in gynecological cancer imaging. Eur Gynaecol oncol. 2008;29:309-312.)で、今後の研究を継続していくうえで、貴重な知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
進行期卵巣癌患者に対して、これまでと同様の検査方法にて99mTc-sestamibi検査を継続して行っていく。核医学検査方法は、放射性薬剤投与後に10分後、2時間後の2回の撮影を行う。撮影は腹部のplanar像を撮影した後に単光子放射断層撮撮影(SPECT像)を追加撮影して、横断像、矢状断像、冠状断像にて画像を追加評価する。画像の評価は、視覚的評価およびコンピュータ解析による定量解析を行う。また、その他の解析では、進行卵巣癌に対する99mTc-sestamibi集積の有無を観察して、治療後の無再発期間、全生存期間との相関を比較する。手術摘出標本において免疫染色法を用いて薬剤耐性関連タンパクのバイオマーカーとされるYB-1、MDRタンパクの発現を調べ、99mTc-sestamibiの卵巣癌への集積状況との相関を比較検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は以下の項目で使用する予定である。1. 核医学トレーサーである99mTc-sestamibiの薬剤料や画像撮影料などを含む核医学検査料に使用する。また、術後病理標本から切り出した切片を特殊免疫染色するために使用する染色キットなどの購入に使用する予定である。2.研究成果の発表や研究領域での新たな情報収集を行うために、国内や海外の学会に参加することが必要であり、調査研究旅費や学会参加費などに使用する予定である。3.研究に必要なデータの保存や解析として外付けハードディスク、解析用ソフトなどが必要であり購入に使用する予定である。
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