2011 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー病の早期診断を目的としたコリントランスポーターイメージング剤の開発
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23591813
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
柴 和弘 金沢大学, 学際科学実験センター, 教授 (40143929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 陽二 金沢大学, 学際科学実験センター, 准教授 (10368483)
小阪 孝史 金沢大学, 学際科学実験センター, 助教 (50579836)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / コリン作動性神経 / 分子イメージング / SPECT / PET |
Research Abstract |
本年度は、コリントランスポーター(CHT)に対して親和性を有する化合物の合成を目指し、CHTのコリン再取り込み能力を増強させるアクリンジン類似構造を有する化合物の合成を行った。基本的な合成ルートはアミノニトリル類似体と脂環式ケトン類をルイス酸存在下で縮合反応及びその後のN-アシル化によって、基本骨格の異なる2種類の化合物の合成を計画した。 その結果、最初のステップとして、2-アミノ-4,5-ジメチル-3-フランカルボニトリルとシクロヘキサノンをトルエン溶媒中で、塩化亜鉛存在下で反応させることにより、中間体である(2,3-ジメチルテトラヒドロフロキノリニルアミン(I)を収率約40%で合成できた。化学構造はNMR及び質量分析により確認した。次に、IをメチルオキソピロリジンアセテートとDMF中水素化ナトリウム存在下で反応させることにより、目的の2-(2-オキソピロリジニル)-N-(2,3-ジメチルテトラヒドロフロキノリニルアセトアミド(II)(分子量:341)を合成した。化学構造はNMR及び質量分析により確認した。収率は約80%であった。さらに、アクリジニルコックを有する2-(2-オキソピロリジニル)-N-(1,2,3,4-テトラヒドロアクリジニルアセトアミドの合成も1,2,3,4-テトラヒドロアクリジニルアミンを中間体として、同様な反応により、合成できた。化学構造もNMR及び質量分析により確認した。 以上のように、コリントランスポータリガンドを合成し、さらに放射性ヨウ素導入可能な化合物の合成のための基本化合物の合成に成功した。これにより、放射性ヨウ素を導入可能なコリントランスポータリガンドの合成も可能となり、今後、これらの化合物のコリントランスポータ親和性を調べるインビトロアッセイや放射性ヨウ素標識実験等を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
複数の異なる骨格を有するコリントランスポーター(CHT)リガンドの合成が、思ったほど収率が良くないため、反応条件の工夫をいろいろ検討した。そのため、当初の予定のヨウ素を導入した化合物の合成を行うまでには至らなかった
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Strategy for Future Research Activity |
最初、目的の基本骨格を有する化合物の合成にかなり苦労したが、反応条件の工夫により、比較的収率良く合成が可能となった。そのため、今後は放射性ヨウ素を導入可能なヨウ素を導入した化合物の合成も容易に可能となるため、今後は予定通り研究が進みと考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年に引き続き、コリントランスポーター(CHT)に作用並びに親和性よ有する化合物の合成の内、特に放射性ヨウ素並びに炭素-11(C-11)の導入が可能な構造を有するコリントラスポーターリガンドの合成を行う。さらに、合成した化合物群をインビトロ薬物阻害実験により,脳内のChTとの結合親和性をKi値で評価する。実験はラット脳を摘出後、遠心分離により、膜成分を多く含むP2分画を調製する。そのP2分画を用いてインビトロ薬物阻実験を行う。実験はラジオリガンドとしてCHTに対して高い親和性を有する[3H]hemicholinium-3と10段階の濃度(10-4~10-10M)に調製した新規合成化合物群を用いて、CHTに対して競合結合させることにより親和性を調べる。これにより、合成化合物のCHTに対する親和性がわかる。得られた結果から、構造活性相関を調べることにより、CHTに対する親和性を高める官能基や側鎖等を予想し、それらを組み合わせることにより、さらにCHT親和性の高い化合物を設計し、合成を行う。そして、放射性ヨウ素並びにC-11の標識が可能な前駆体であるトリブチルスズ体を合成し、放射性ヨウ素標識化及びC-11標識化の検討を行う予定である。
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