2012 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー病の早期診断を目的としたコリントランスポーターイメージング剤の開発
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23591813
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
柴 和弘 金沢大学, 学際科学実験センター, 教授 (40143929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 陽二 金沢大学, 学際科学実験センター, 准教授 (10368483)
小阪 孝史 金沢大学, 学際科学実験センター, 助教 (50579836)
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Keywords | アルツハイマー病 / コリン作動性神経系 / 分子イメージング / SPECT |
Research Abstract |
本年度は、コリントランスポーター(CHT)に対して親和性を有する化合物の合成を目指し、昨年度合成したCHTのコリン再取り込み能力を増強させるアクリンジン類似構造を有する化合物の誘導体のCHTに対する親和性を調べるため、[3H]ヘリコミニウム-3(HC-3)をとラット脳ホモジナイズを用いたインビトロ結合阻害実験を行った。その結果、CHTに対する親和性は残念ながら、見られなかった。合成した化合物はCHT活性を高める作用があることから、親和性も高いと考えたが、実際は、これらの誘導体のCHT賦活作用は間接的な作用と考えられた。そこで、今後、ヘリコミニウム-3の陽電荷を無くしたヘリコミニウム-3(HC-3)誘導体を合成していくつもりである。また、アルツハイマー病の早期診断を目的とした本研究課題はCHTに代わる同じコリン作動性神経系のアセチルコリントランスポーター(VAChT)に着目した研究も行ってきた。これまでにデカリンベサミコールの誘導体であるo-iododecaline vesamicol(OIDV)が高いVAChT親和性を示したことから、さらに、4つの異性体が存在するOIDVの光学分割をHPLCにより行った。その結果、2つのジアステレオマー異性体分離ができた。2つの異性体OIDVのVAChT親和を調べるために、インビトロ結合阻害実験を行ったところ、1つの異性体(1)がVAChT親和性が向上し、また、シグマ受容体(σ-1、σ-2)に対する親和性が低くなったことから、VAChTに対する選択的親和性が高くなった。来年度は、放射性ヨウ素標識異性体(1)OIDVを標識合成し、インビボ体内動態やex vivoオートラジオグラムによる局所脳内分布等を調べることにより、異性体(1)OIDVのVAChTイメージング剤としての可能性を検討すると共に、高脂溶性HC-3の合成を検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
合成した化合物が思ったほどCHTに対する親和性が高くなく、新たな化合物の合成からしなければならなくなった。そのためかなり進展が遅れる予定である。しかし、別にVAChTに高い親和性を有する化合物が合成できたため、アルツハイマー病早期診断の目的にはかなり進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
アルツハイマー病早期診断を目的として、コリン作動性神経系のトランスポータに着目して、CHTとVAChTをターゲットとして化合物合成を検討し、VAChTに対して選択的高親和性を示す異性体(1)OIDVを合成することができた。今後、動物を用いたインビボ動態を調べることにより、有用性を明らかにしていきたい。CHTイメージング剤の開発には新たな高脂溶性HC-3誘導体の合成が必要であり、検討していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ジアステレオマー異性体OIDV(1)のVAChT分子イメージング剤としての有用性を動物を使ったインビボ局所脳内動態、インビボ阻害実験やex vivoオートラジオグラフィ実験を[125I]OIDV(1)を用いて行う。そのために、ラジオアイソトープの購入([125I]NaI、[123I]NaI), 動物の購入(ラット,マウス)、消耗品の購入(イメージングプレート、スライドガラス、硝子器具、試薬等)、情報収集及び研究成果発表のための旅費などに使用する。
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Research Products
(5 results)