2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23591831
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
根本 建二 山形大学, 医学部, 教授 (10208291)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 食道癌 / リンパ節転移 / CTV / 放射線治療 / 予防的放射線治療 / 免疫染色 |
Outline of Annual Research Achievements |
化学放射線療法の導入によって放射線治療の成績がめざましく改善した一方で,予防的なリンパ節領域照射のための広範な照射野によって引き起こされる晩期障害が問題となっている.その一方で,小さな照射野では無視できない頻度でリンパ節再発が生じ,その救済治療は困難となる. 現状では,このリンパ節転移の可能性が小さく局所照射野で良い症例と,リンパ節転移が高率に発生するため広範な照射野が必要な症例が十分には分別できていない. 本研究は,過去の食道癌手術例の切除標本を対象に,バイオマーカー発現を免疫組織学的な手法を用いて解析し,リンパ節転移の部位や範囲,再発形式との関連を検討することにより,リンパ節転移を来しやすく広い照射野が必要な群と,リンパ節転移が起きにくく限局照射野で十分な群の判別を可能とすることを目指すものである. 平成26年度には,食道癌切除例18症例の切除可能食道癌標本のCOX-2,VEGF-C,CD44,twist,LOXの5種類のバイオマーカーの染色を終了して,病理学的なリンパ節転移,予後,再発形式との相関を調査開始した. 現時点で,LOXの発現上昇がある場合はリンパ節転移が存在する可能性が高いこと,CD44の発現上昇がある場合はリンパ節再発のリスクが高いことの2つの相関が認められている.この2つの相関からは,LOXの発現上昇がなく,さらにCD44の発現上昇がない場合には,リンパ節転移の可能性が低く,広範な照射野をとらなくてもいい可能性があるといえる.この成果は平成27年度中に国内学会・国際学会での発表,論文化を予定している. 今後は,この相関が内視鏡下の生検でも切除食道癌標本と同様に得られるかの検討を行い,個別化照射野による化学放射線療法の前向き試験を目指していく.
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