2011 Fiscal Year Research-status Report
体内空間創造による難治癌に対する新規放射線治療法の開発
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23591840
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
村岡 修 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (20283765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 良平 神戸大学, 医学部附属病院, 特命准教授 (30346267)
福本 巧 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70379402)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 癌治療 / 粒子線治療 / スペーサー |
Research Abstract |
ポリグリコール酸繊維で作られた不織布(PGA spacer)を水を含ませたWetの状態にてそれぞれ陽子線/炭素線を照射し、線量分布を測定したところ、spacer厚の分だけSpread Out Bragg Peak(SOBP)が移動することが確認された。このことからWet PGA spacerは水等価性に近いことがわかった。また治療計画装置による線量計算でも、同様のことが確認された。 マウスの腹部にPGA spacerを埋植し12週間飼育して、PGA spacerの消退速度・細胞浸潤を観察した。埋植後2週間で細胞浸潤を認めた。埋植後6週間ではspacer厚は2/3程度に、12週間ではほぼ消退していた。 マウスの腹部にPGA spacerを埋植した後、腹部に炭素線を照射し、その影響を検討した。Spacer非埋植マウスにのみ20Gy照射で体重減少と腸管絨毛の著明な脱落を認め、放射線による影響と考えられた。この結果から、PGA spacer埋植により腸管など隣接する臓器への被照射線量を低減させることが可能であることが確認された。 これらの結果から、PGA spacerの有効性と安全性の基礎的データをが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成23-24年度に予定していた基礎的データの収集は23年度内にほぼ完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は同じ実験手法を応用して、別の素材を用いたスペーサーの可能性についても検討する予定である。さらに、スペーサーは照射に必要な期間に十分な保ち、照射終了後にはできるだけ速やかに消退することが理想的である。至適な消退速度を得られるように、繊維の組成の検討も加える また25年度に予定していた、臨床応用に向けての準備に入る。本研究は前向き臨床研究であることから、当施設の倫理委員会の審査を経る必要があり、現在その準備中である。候補者の募集や説明などの実際の業務は当科の関連施設である兵庫粒子線医療センターで行うことになる。このため医療センターのスタッフとの打ち合わせを綿密に行う必要がある。さらに、患者への埋植は外科医に依頼することになるが、これについては研究分担者の福本が主に担当する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
新たな素材を試すため引き続き動物実験を行う。すでに実験の手法は確立しており、このプロトコールに従い前回と同様のデータを取る。実験費用はほぼ同様と予想している。 臨床応用に向けた準備には、関係各所との相談・連絡が必要で、交通・通信が重要となる。また患者説明用の資料の作成も考えており、事務費の占める割合が高まると予想される。
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