2012 Fiscal Year Research-status Report
トリプルネガティブ乳癌の新規治療法開発のための基礎研究
Project/Area Number |
23591911
|
Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
紅林 淳一 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (10248255)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森谷 卓也 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00230160)
鹿股 直樹 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (60263373)
|
Keywords | トリプルネガティブ乳癌 / 乳癌幹細胞 / mTOR阻害薬 / 抗エストロゲン薬 / 内分泌療法抵抗性 |
Research Abstract |
平成24年度は、ER陽性乳癌細胞におけるエストロゲンや抗エストロゲン薬(AE)の細胞増殖や癌幹細胞 (CSC)制御に与える影響について検討した。さらに、mammalian target of rapamycin (mTOR)阻害薬エベロリムス (EVE)とAEとの併用効果も検討した。ER陽性乳癌の実験モデル:エストロゲン高感受性 (HS)のMCF-7, T-47D乳癌細胞株, エストロゲン低感受性 (LS)のKPL-1, KPL-3C乳癌細胞株、薬剤:17β-estradiol (E2)、4-hydroxytamoxifen 、fulvestrant、EVE。細胞増殖、細胞周期、アポトーシス、CSC比率に与える影響を検討した。CSCの同定には、CD44/CD24/EpCAM抗体を用いたフローサイトメトリー法、mammosphere assayを用いた。ER関連転写因子の発現は免疫細胞化学的に検討した。結果:1) LS細胞株では、PgRの発現が認められなかった。それ以外のER関連因子は、HS細胞株、LS細胞株ともに高発現が認められた。2) HS細胞株はLS細胞株に比べ、E2による細胞増殖の促進効果(G1-S移行の促進、アポトーシスの減少)、CSC比率の増加効果が、ともにより顕著であった。3) HS細胞株はLS細胞株に比べ、AEによる細胞増殖の抑制効果、CSC比率の低下効果がより顕著であった。4) EVEとAEの併用は、LS細胞株において相加的な細胞増殖抑制効果を示した。両薬の併用により、CSC比率の減少効果が増強された。AE抵抗性獲得のメカニズムの一つとして、CSC制御機構の異常が関わっている可能性がある。これらの結果から、内分泌療法抵抗性乳癌におけるEVEの有用性が示唆された。さらに、トリプルネガティブ乳癌細胞株を含む細胞株パネルにおけるEVEの抗腫瘍効果も検討中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、トリプルネガティブ乳癌 (TNBC)でみられるDNA修復異常を介して働くpoly ADP-ribose polymerase (PARP) 1阻害薬 AZD2281 (olaparib)に関する基礎研究を行い、olaparibはTNBC細胞ばかりでなくER陽性HER2陰性乳癌細胞に対しても抗腫瘍活性を示し、細胞周期におけるG2/M分画への集積、アポトーシスの誘導、癌幹細胞 (CSC)比率の低下をもたらし、さらにDNA傷害性化学療法薬SN38と相加的に抗腫瘍効果を示した。また、ER陽性HER2陰性乳癌細胞において抗エストロゲン薬とolaparibが相加的な抗腫瘍効果を示すことが判明した。 そこで、平成24年度は、ER陽性HER2陰性乳癌細胞におけるエストロゲン、各種内分泌療法薬、olaparibの細胞増殖や癌幹細胞に与える影響を探索的に検討した。その検討の中で、内分泌療法抵抗性獲得のメカニズムの一つとして、CSC制御機構の異常が関わっている可能性が示唆された。また、内分泌療法薬とmTOR阻害薬everolimus (EVE)の併用が、相加的抗腫瘍効果とともにCSC比率減少効果の増強をもたらすことも示された。これらの結果から、内分泌療法抵抗性乳癌におけるEVEの有用性が示唆された。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、トリプルネガティブ乳癌 (TNBC)の新規治療薬の候補としてこれまで検討してきたdasatinib, olaparibに加え、mTOR阻害薬everolimusの抗腫瘍効果、細胞周期、アポトーシス、癌幹細胞 (CSC)に与える影響を乳癌細胞株パネルを用い検討する。さらに、これらの候補薬の併用投与による抗腫瘍効果の増強を探索的に調べる。また、CSCの制御機構の解明を目指し、各種薬剤のCSC比率に与える影響とCSC制御に関わると報告されているサイトカイン等のmRNA発現レベルの変化との相関を調べる。また、平成24年度から取り組んでいるER陽性HER2陰性乳癌細胞の内分泌療法抵抗性獲得のメカニズムにおけるCSCの役割に関する研究も継続する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度と同様に、細胞培養関連の試薬、フローサイトメトリーによる細胞周期、アポトーシス、癌幹細胞の同定に関わる試薬、定量RT-PCRの試薬等、ほとんど消耗品に使用する。また、研究結果をまとめ、英語論文化するため、英語論文の校正等の経費も必要である。
|
Research Products
(10 results)
-
[Journal Article] Marked lymphovascular invasion, progesterone receptor negativity and high Ki67 labeling index predict a poor outcome in breast cancer patients treated with endocrine therapy alone.2014
Author(s)
Kurebayashi J, Kanomata N, Shimo T, Yamashita T, Aogi K, Nishimura R, Shimizu C, Tsuda H, Moriya T, Sonoo H
-
Journal Title
Breast Cancer
Volume: 21
Pages: 214-222
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-