2013 Fiscal Year Annual Research Report
食道癌周術期管理におけるグレリンのサイトカイン分泌抑制作用効果の検討
Project/Area Number |
23591929
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
瀧口 修司 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00301268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 博志 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80362713)
山崎 誠 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50444518)
日浦 祐一郎 大阪大学, 医学部附属病院, その他 (60571354)
宮崎 安弘 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00571390)
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Keywords | グレリン / 食道癌 / SIRS |
Research Abstract |
平成23年度に施行した術後グレリン変化(術翌日ならびに翌日)によるSIRS期間と合併症予測の観察研究、食道癌術後におけるSIRS期間短縮を目指した合成グレリン投与の第I相試験の研究報告から①食道癌手術において術後のグレリンの減少が大きい症例ほど、術後の炎症が遷延する。②食道癌術後において合成グレリンを投与することで、術後炎症が軽減しSIRS期間の短縮に結びつくと考えられた。③投与方法の検討では炎症遷延の防止を目的とした合成グレリン投与は高容量単回投与より低容量持続投与の方が効果が高いことが示唆された。これらの結果に基づき当初の予定通りグレリン持続投与20例、非投与20例のランダム化試験を2012年4月より開始した(UMIN 7077)。前年度末の時点で40例の予定のところ24例の登録を終了しており、今年度も引き続き臨床試験を行い2013年10月に症例集積を終了し、以降解析を行い予定通り2014年2月に解析を終了した。 結果としては患者背景にグレリン群とプラセボ群で、術前術中の患者背景因子はに明かな差を認めなかった。全例においてグレリンを投与することが可能で投与に起因すると考えられる合併症は認めなかった。結果としては、術後SIRS期間は有意に短縮し、術後合併症ではグレリン群で全合併症(特に術後治療介入が必要な呼吸器合併症)が有意に少なく、術後のCRP推移、IL-6の上昇グレリン群で抑制されていた。また術後在院日数や術後経口摂取までの日数の短縮することが確認された。さらに術後の代謝栄養面では、窒素バランスが改善され。術後のトランスサイレチン、トランスフェリン、レチノール結合蛋白の低下がグレリン群で有意に少なく、術後の異化の抑制が起こることが確認された。本研究の結果から食道癌術後早期患者にグレリンを安全に投与でき、術後の炎症抑制効果、異化抑制効果を認めることが示唆された。今後、臨床試験の研究結果の公表を予定している。
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