2013 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌幹細胞による腹膜転移形成と宿主免疫回避機構に関する研究
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23591939
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Research Institution | 独立行政法人国立国際医療研究センター |
Principal Investigator |
辻谷 俊一 独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (30188544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鴻江 俊治 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (30215199)
掛地 吉弘 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80284488)
森田 勝 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30294937)
大賀 丈史 独立行政法人国立病院機構福岡東医療センター(臨床研究部), その他部局等, その他 (60335958)
江頭 明典 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, その他 (00419524)
園田 英人 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (00465725)
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Keywords | がん幹細胞 / 免疫抑制 / 胃癌 / 腹膜播種 / 樹状細胞 |
Research Abstract |
胃癌の腹膜播種は最も治療困難な転移のひとつであり、新たな治療法の開発が期待されている。根治的がん治療のためには、放射線療法や抗がん剤に耐性を示すがん幹細胞を根絶することが必要であるが、免疫療法は特異的かつ無害に、静止期細胞を含めて標的にすることができる点で、がん幹細胞治療のアプローチとして優れている。しかし、がん幹細胞が示す免疫回避機構の詳細はいまだ不明であり、その実態を明らかにする必要がある。胃癌腹水中は大量の免疫抑制物質を含み、免疫治療にとって最も困難な環境であることから、腹腔内の胃癌幹細胞に有効な免疫治療として樹状細胞ワクチン療法の開発を試みた。 胃癌細胞株MKN45、MKN74を用いてFACSにてがん幹細胞と報告されているCD44+細胞とCD44-細胞の分画に分け、細胞内サイトカインの発現を調べた。がん幹細胞ではTGF-βの発現が亢進し、IL-10、VEGFの発現も高く、がん幹細胞は高度な免疫回避機構を有すると考えられた。しかし、CD44+細胞で誘導した健常人由来の細胞傷害性T細胞(CTL)はCD44-細胞で誘導したCTLと同様の細胞傷害性を示した。したがって、がん幹細胞はそれ自体が免疫治療に抵抗性なのではなく、局所の免疫回避機構によって守られている可能性が示唆された。 胃癌腹水中のがん細胞を腹水濾過濃縮還元療法(CART)によって濾過フィルター内に回収し、FACSにてCD44+細胞とCD44-細胞の分画を採取した。CD44+細胞はVEGF、TGF-βの発現が強く、腹水中のVEGFの産生に関与している可能性が示唆された。 がんに対する樹状細胞ワクチン療法を検討すると、膵癌、胆管癌、非小細胞肺癌などで比較的長い生存期間が認められ、DTH皮内反応が治療効果の予測因子となる可能性が示唆された。今後、胃癌についても治療効果を評価することが重要と考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Dendritic cell-based immunotherapy targeting synthesized peptides for advanced biliary tract cancer2013
Author(s)
Kobayashi M, Sakabe T, Abe H, Tanii M, Takahashi H, Chiba A, Yanagida E,Shibamoto Y, Ogasawara M, Tsujitani S, Koido S, Nagai K, Shimodaira S, Okamoto M,Yonemitsu Y, Suzuki N, Nagaya M; DC-vaccine study group at the Japan Society of Innovative Cell Therapy (J-SICT).
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Journal Title
J Gastrointest Surg
Volume: 17(9)
Pages: 1609-17
DOI
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