2013 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌の悪性化機序を促進する炎症性因子の同定と制御に関する基礎的・臨床的研究
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23591992
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
上野 真一 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特任教授 (40322317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
夏越 祥次 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70237577)
迫田 雅彦 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (40418851)
石神 純也 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (90325803)
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Keywords | HCC / HMGB1 / RAGE / 悪性化 / Fr-Bイムノトキシン |
Research Abstract |
炎症遷延化を引き起こすHMGB1とそれに呼応するTLR-4、その存在母体であるマクロファージ/TAMの動態、またEMTなど癌形質転換の存在の有無について、ヒト肝癌(HCC)を用いて検討し、その病態解明とともに腫瘍関連マクロファージ(TAM)に対する申請者ら独自の抗FRβイムノトキシンによる制御法の検討を行った。これまでにヒト肝癌(HCC)において、①組織HMGB1レベルとTAM数の相関がみられ、②TAM数と予後の相関もみられた。また、③EMTに関する知見では、TGF-βのみならず転写因子ZEB-1も関与することを見出した。HCCにおいてZEB-1陽性例は21.3%と少ないものの、その予後は有意に不良である。さらに、よく知られたE-cadherin減弱とZEB-1陽性の組み合わせ群では、予後が極めて不良であった。これは、ZEB-1の発現によりEMT過程でのE-cadherin減弱が起こり腫瘍の性質が悪化したためと推察される。(Ann Surg Oncol; in press) 一方、そのTAMの制御に関して、抗FRβイムノトキシンをヌードマウスHepG2皮下移植モデルに対して投与したところ、著名な腫瘍増殖抑制効果が認められた。以上の結果より、組織HMGB1とこれらにより誘導されるTAM、また組織悪性化(形質転換)への可能性の関連が強く示唆されたことになる。現在も、動物モデルを用いて、炎症遷延化を引き起こすHMGB1とそれに呼応するTLR-4、その存在母体であるマクロファージ/TAMの動態、そこから引きおこされるTGF-βとIL-6亢進の有無、またZEB1,Snail,Slug等の転写因子の活性化とEMTなど癌形質転換の存在の有無についてより詳細に検討を加えている。
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