2013 Fiscal Year Annual Research Report
癌抑制遺伝子FHITのPKC制御による膵癌の浸潤・転移抑制効果の研究
Project/Area Number |
23592009
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西崎 正彦 岡山大学, 大学病院, 助教 (30379789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 俊義 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00304303)
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Keywords | FHIT / PKC / 膵癌 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
24年度に行ったFHIT発現アデノウイルスベクター(Ad-FHIT)を用いた実験をより生理的な条件で再現するため、カチオニックリポソームであるDOTAPコレステロールを用いプラスミドでの遺伝子導入実験を行った。膵癌細胞株S2-VP10にFHITを導入したが、EZRINスレオニン基のリン酸化抑制は認められなかった。原因としてS2-VP10への遺伝子導入効率が低いことが考えられたため、免疫蛍光染色で形態の変化を観察した。コントロール細胞ではアクチンフィラメントの重合とそれに一致したEZRINの局在が確認されたが、FHIT発現プラスミドが導入された細胞ではアクチンフィラメントの重合阻害とEZRINのびまん性発現が認められ、EZRINとACTINとの結合阻害が示唆された。 上記の結果より強発現系のAd-FHITを用い膵癌細胞の転移能を検討する実験を行った。治療群はAd-FHIT、コントロール群はPBS、および、LacZ発現アデノウイルスベクター(Ad-LacZ)をS2-VP10に1000MOIで感染し、36時間、48時間、72時間後の細胞増殖能をXTTを用い定量した。36時間、48時間ではAd-FHIT感染細胞とコントロール群は同等の増殖能を有したが、72時間ではでは細胞増殖能が減弱した。次に24ウェル細胞浸潤アッセイキットを用い細胞浸潤能の検討を行った。Ad-FHIT感染(1000MOI)36時間後にメンブレンにS2-VP10を敷き、その12時間後にメンブレンを通過してチャンバーに到達した細胞を固定、DAPI染色の蛍光吸光度で定量した。Ad-FHIT感染細胞はコントロール群に比し有意に細胞浸潤能の減弱が認められた(P<0.01)。 以上よりFHIT遺伝子治療はPKCを制御することによりEZRINとACTINの結合を阻害し細胞の浸潤能を減弱することで膵癌の転移を抑制する可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)